『あやかしの肌』・・・第十一章
『あやかしの肌』
第十一章
ネット小説ランキング>【R18官能部門】>あやかしの肌
国電が走るガード下のパチンコ屋で、煙草を二カートン勝った辰二は、昼下がりの神田をぶらぶらと歩いていた。
池田内閣の経済成長とやらで、雨後の筍のように神田にも会社が増えた。
ポマードで髪を固めた黒縁眼鏡のサラリーマン達が、ランニング姿の辰二を好奇な目で見ながら、さも忙しそうにせかせかと街を行き来している。
食堂で鯖の塩焼きを食べながら、辰二は神田の街が変わって行くのを実感した。
職人の街だった神田が、よそ者のサラリーマンに占拠されつつあった。
気風のいい男衆はもちろん、買い物カゴを手に割烹着を着た女房連、ベーゴマやチャンバラごっこで遊ぶ子供達の姿はすっかり見かけなくなった。
辰二は不安を感じた。
企業進出で神田から地元の住民が消えて行く。
わずかに残った住民も、所得が増えて風呂つきの団地に住むようになれば、当然ながら銭湯の商売は立ち行かなくなる。
後五六年もすれば、東京の銭湯は次々とつぶれていくに違いない。
暗欝とした心情で竹の湯へ戻る途中、路地を入ったところに、辰二は開店したばかりの小料理屋を見つけた。
『酒肴美千代』
昼は営業しておらず、店はのれんを下ろしていた。
まだ新しい硝子戸から中を覗くと、一階がカウンター席だけの小さな造りで、二階が住居になっているようだった。
つづく・・・
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ポマードで髪を固めた黒縁眼鏡のサラリーマン達が、ランニング姿の辰二を好奇な目で見ながら、さも忙しそうにせかせかと街を行き来している。
食堂で鯖の塩焼きを食べながら、辰二は神田の街が変わって行くのを実感した。
職人の街だった神田が、よそ者のサラリーマンに占拠されつつあった。
気風のいい男衆はもちろん、買い物カゴを手に割烹着を着た女房連、ベーゴマやチャンバラごっこで遊ぶ子供達の姿はすっかり見かけなくなった。
辰二は不安を感じた。
企業進出で神田から地元の住民が消えて行く。
わずかに残った住民も、所得が増えて風呂つきの団地に住むようになれば、当然ながら銭湯の商売は立ち行かなくなる。
後五六年もすれば、東京の銭湯は次々とつぶれていくに違いない。
暗欝とした心情で竹の湯へ戻る途中、路地を入ったところに、辰二は開店したばかりの小料理屋を見つけた。
『酒肴美千代』
昼は営業しておらず、店はのれんを下ろしていた。
まだ新しい硝子戸から中を覗くと、一階がカウンター席だけの小さな造りで、二階が住居になっているようだった。
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