『風媒花』・・・第七章
『風 媒 花』
第七章
喫茶店を出ると、清子は親切に会津を案内してくれた。
白虎隊が自刀した飯盛山、名産の酒や漆器、そして田楽を食べさせる店を巡った。
雪に足を取られながら、二人は手を繋ぐこともなく市街を散策した。
楽しい時は過ぎるのが速い。
知彦は今夜、喜多方の北にある熱塩温泉に宿をとっていた。
磐越西線で会津若松から喜多方へ出て、そこから日中線に乗り継いだ終着駅が熱塩である。
日が傾き始める頃、二人は会津若松駅のホームにいた。
「お兄ちゃん・・」
清子は列車に乗ろうとする知彦を呼び止めた。
そしてもじもじしながら、首に架けた十字架のネックレスを知彦に渡した。
「私も来年東京の大学へ行きたい」
「えっ・・あ、ああ」
頭の中が真っ白になった。
清子は額を知彦の肩に押し当てて腕にしがみついてきた。
「いつまでも妹なんかじゃ嫌・・」
白いセーターを小高く膨らませる乳房が、知彦の腕をぎゅっと挟み込む。
「う、うん・・早く東京へ来いよ・・」
「そ、その時は・・蒸気機関車より大切に想ってくれる?」
「も、もちろんだよ」
情けないほど震える手で、知彦は清子の肩を抱いた。
喜多方へ向かう列車は、ディーゼル音を響かせながら、真っ白な雪原が広がる会津盆地を疾走した。
すでに西日は、黒い影となった山の稜線に沈みかけている。
知彦は列車の車窓にもたれながら、ぎゅっと十字架のネックレスを握り締めた。
(子供だとばかり思っていた清子が・・)
車窓のガラスに写る知彦の口許がふっと弛んだ。
そして腕に残る固い乳房の感触が、清子への想いを沸き立たせた。
つづく・・・
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喫茶店を出ると、清子は親切に会津を案内してくれた。
白虎隊が自刀した飯盛山、名産の酒や漆器、そして田楽を食べさせる店を巡った。
雪に足を取られながら、二人は手を繋ぐこともなく市街を散策した。
楽しい時は過ぎるのが速い。
知彦は今夜、喜多方の北にある熱塩温泉に宿をとっていた。
磐越西線で会津若松から喜多方へ出て、そこから日中線に乗り継いだ終着駅が熱塩である。
日が傾き始める頃、二人は会津若松駅のホームにいた。
「お兄ちゃん・・」
清子は列車に乗ろうとする知彦を呼び止めた。
そしてもじもじしながら、首に架けた十字架のネックレスを知彦に渡した。
「私も来年東京の大学へ行きたい」
「えっ・・あ、ああ」
頭の中が真っ白になった。
清子は額を知彦の肩に押し当てて腕にしがみついてきた。
「いつまでも妹なんかじゃ嫌・・」
白いセーターを小高く膨らませる乳房が、知彦の腕をぎゅっと挟み込む。
「う、うん・・早く東京へ来いよ・・」
「そ、その時は・・蒸気機関車より大切に想ってくれる?」
「も、もちろんだよ」
情けないほど震える手で、知彦は清子の肩を抱いた。
喜多方へ向かう列車は、ディーゼル音を響かせながら、真っ白な雪原が広がる会津盆地を疾走した。
すでに西日は、黒い影となった山の稜線に沈みかけている。
知彦は列車の車窓にもたれながら、ぎゅっと十字架のネックレスを握り締めた。
(子供だとばかり思っていた清子が・・)
車窓のガラスに写る知彦の口許がふっと弛んだ。
そして腕に残る固い乳房の感触が、清子への想いを沸き立たせた。
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