『愛憎の流砂』・・・第十七章
『愛憎の流砂』
※ 男の愛撫にうねる白い肌・・・
愛人に溺れる母を恨み呪う少女・・・
やがて大人になった少女は、思いもよらぬ運命に手繰られていく。
第十七章
大粒の涙をボロボロ流しながら、美幸は毛羽立った畳に突っ伏した。
呆然と立ちつくした母はスーツを足元に落とした。
「・・す、済まない。お前に苦労をかけていたんだね・・でも母ちゃんは・・母ちゃんは、あの人がいてくれたから生きて来られたんだよ。お金じゃなくて・・あの人がいてくれたから、幼いお前を手放さないで生きて来られたんだよ」
美幸は母をキッと睨みつけた。
「嘘よ。どんなに貧しくても、母娘二人で暮らせばいいじゃない。愛人がいないと生きられないなんて、男好きな女の勝手な言い訳でしょう?」
母は哀しげな目で美幸を見つめた。
「・・まだ、お前にはわからないんだよ・・女の心が・・」
母は苦しそうに声を絞り出すと、丁寧にスーツをハンガーに掛け直した。
「そんなのわかりたくない、淫乱女っ!」
大声で母に罵声を浴びせた美幸は、革靴をつっかけて家を飛び出した。
砂浜を這うように風が押し寄せる。
刻々と風に形を変えられていく砂山。
それはまるで母のように、自分の意思ではなく、男に縋って生きる女の人生に似ていた。
(私は・・絶対に母のような女にはならない)
美幸はぐっと歯を噛み締めると、足にまとわりつく砂を海に向かって蹴り上げた。
つづく・・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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美幸は母をキッと睨みつけた。
「嘘よ。どんなに貧しくても、母娘二人で暮らせばいいじゃない。愛人がいないと生きられないなんて、男好きな女の勝手な言い訳でしょう?」
母は哀しげな目で美幸を見つめた。
「・・まだ、お前にはわからないんだよ・・女の心が・・」
母は苦しそうに声を絞り出すと、丁寧にスーツをハンガーに掛け直した。
「そんなのわかりたくない、淫乱女っ!」
大声で母に罵声を浴びせた美幸は、革靴をつっかけて家を飛び出した。
砂浜を這うように風が押し寄せる。
刻々と風に形を変えられていく砂山。
それはまるで母のように、自分の意思ではなく、男に縋って生きる女の人生に似ていた。
(私は・・絶対に母のような女にはならない)
美幸はぐっと歯を噛み締めると、足にまとわりつく砂を海に向かって蹴り上げた。
つづく・・・
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