『愛憎の流砂』・・・第十三章
『愛憎の流砂』
※ 男の愛撫にうねる白い肌・・・
愛人に溺れる母を恨み呪う少女・・・
やがて大人になった少女は、思いもよらぬ運命に手繰られていく。
第十三章
美幸が腹案を出すと、青砥は目を真っ赤に潤ませていきなり手を押し頂いた。
「あ、ありがとう・・佐久田さんのお陰で大切な社員の家族が救われるよ」
「あ、そんな・・」
ごつごつした熱い手が、美幸の手をぎゅっと握りしめた。
小さくても一国一城の主が、社員の家族を想い遣って、子供のようにポロポロ涙を流して喜んでいる。
川上は立派な跡継ぎだと自慢する通り、仕事への熱意、社員への愛情、どれをとっても経営者としては非の打ちどころがなかった。
手を握られたまま、美幸は青砥をじっと見つめた。
(何て凄い男なんだろう・・)
夫も含めてサラリーマンしか知らない美幸は、まったく人種が異なる男の大きさを知る思いがした。
それは動物園の檻にいる虎と、大自然に放たれた野生の虎ほどの違いがあった。
組織と言う檻の中で飼われる男は、期待される役割を演じなければならない。
係長・課長・部長――会社から与えられた鋳型に、自分の身を合わせなければ評価されないのだ。
会社の外へ出ても、その習性はなかなか変えることができなくなる。
家庭でも、良き夫良き父親たらんとして、正彦のようにごくありきたりなプロトタイプであろうとする。
それに比べて自営業は、組織に制約されることはなく、稼げるか稼げないかだけがその人物の全てである。
むしろ自由奔放で型にはまらない男の方が、まったく斬新な発想で実業家として大成することが多い。
そのような男は魅力的ではあるが、女が求める安定した生活は望むべくもない。
大当たりするか、大外れするか、常にリスクと隣り合わせで怯えていなければならない。
つづく・・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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手を握られたまま、美幸は青砥をじっと見つめた。
(何て凄い男なんだろう・・)
夫も含めてサラリーマンしか知らない美幸は、まったく人種が異なる男の大きさを知る思いがした。
それは動物園の檻にいる虎と、大自然に放たれた野生の虎ほどの違いがあった。
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会社の外へ出ても、その習性はなかなか変えることができなくなる。
家庭でも、良き夫良き父親たらんとして、正彦のようにごくありきたりなプロトタイプであろうとする。
それに比べて自営業は、組織に制約されることはなく、稼げるか稼げないかだけがその人物の全てである。
むしろ自由奔放で型にはまらない男の方が、まったく斬新な発想で実業家として大成することが多い。
そのような男は魅力的ではあるが、女が求める安定した生活は望むべくもない。
大当たりするか、大外れするか、常にリスクと隣り合わせで怯えていなければならない。
つづく・・・
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