『愛憎の流砂』・・・第十二章
『愛憎の流砂』
※ 男の愛撫にうねる白い肌・・・
愛人に溺れる母を恨み呪う少女・・・
やがて大人になった少女は、思いもよらぬ運命に手繰られていく。
第十二章
確かに癌の治療は金がかかる。
抗癌剤にしても放射線治療にしても、自己負担で月十万円近く必要になることがある。
青砥はバンとテーブルを叩いた。
「社員の家族に、最良の治療を受けさせられないなんて、社長として失格だよ」
青砥は涙声で自分を責めた。
「それは若が悪いんじゃありません。今の土建業界では、うちはまだ給料やボーナスもいい方です」
「でもこれが現実だ。俺はどんなことをしても、西田さんの奥さんに治療を受けさせたいんだ」
青砥は通帳と印鑑を美幸に渡した。
「五十万円ある。今、女房に内緒で自由になる金はこれだけしかない。佐久田さん、銀行で下ろして来てくれないか?」
美幸は古武士のような西田の顔を思い浮かべた。
「・・でも、社長個人のお金を西田さんが受け取りますか?」
「若、あいつは頑固者ですよ」
「う~ん、確かに道理に適わないことは嫌いだよなあ・・佐久田さん、何かいい知恵はないかな?」
頭を抱え込んだ青砥は、泣きそうな顔で美幸に手を摺り合わせた。
二人に見つめられた美幸はしばらく考えた。
「ではこうしたらどうですか?」
金を貰うのに抵抗があるなら、青砥建設が無利子で貸し付ける形にすればいい。
青砥の五十万を借入金として会社へ入れ、そのまま従業員貸付金として西田に渡してやるのだ。
「な、なるほど・・それなら西田さんも」
「今の資金繰りならば、会社からも五十万円ぐらい捻出できます。合わせて百万円を西田さんにお貸ししましょう」
つづく・・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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「でもこれが現実だ。俺はどんなことをしても、西田さんの奥さんに治療を受けさせたいんだ」
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「五十万円ある。今、女房に内緒で自由になる金はこれだけしかない。佐久田さん、銀行で下ろして来てくれないか?」
美幸は古武士のような西田の顔を思い浮かべた。
「・・でも、社長個人のお金を西田さんが受け取りますか?」
「若、あいつは頑固者ですよ」
「う~ん、確かに道理に適わないことは嫌いだよなあ・・佐久田さん、何かいい知恵はないかな?」
頭を抱え込んだ青砥は、泣きそうな顔で美幸に手を摺り合わせた。
二人に見つめられた美幸はしばらく考えた。
「ではこうしたらどうですか?」
金を貰うのに抵抗があるなら、青砥建設が無利子で貸し付ける形にすればいい。
青砥の五十万を借入金として会社へ入れ、そのまま従業員貸付金として西田に渡してやるのだ。
「な、なるほど・・それなら西田さんも」
「今の資金繰りならば、会社からも五十万円ぐらい捻出できます。合わせて百万円を西田さんにお貸ししましょう」
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