『愛憎の流砂』・・・第十一章
『愛憎の流砂』
※ 男の愛撫にうねる白い肌・・・
愛人に溺れる母を恨み呪う少女・・・
やがて大人になった少女は、思いもよらぬ運命に手繰られていく。
第十一章
土建屋の二代目三代目には、高給外車に乗って空威張りしている輩が多いと言う。
だが青砥は、精力的に現場を駆け回る一方、社員の声には謙虚に耳を傾ける。
泰然として時流を読みながらも、時と見るや豪胆な決断を下す。
確かに見た目も、日焼けして筋肉質な青砥は精悍な黒豹のようだった。
だが美幸は、二代目の努力を請求書から窺い知っていた。
仕事に厳しい青砥は、よく朝の事務所で部下を叱責することがあった。
だがその夜は必ず、どんなに疲れていても彼等を飲みに誘った。
また年配の社員には、結婚記念日に花を贈るなど細やかな気を遣っていた。
こうして青砥は、硬軟両様で荒くれ男達の心をしっかりとつかんでいった。
事務所へ入るなり青砥が呼んだ。
「川上部長、佐久田さん、ちょっと来てくれないか?」
会議室に入ると、青砥はテーブルに個人の貯金通帳と印鑑を置いた。
「若、どうしたんですか?」
「うん、西川さんのことだが・・」
設計部にいる西田課長の妻が、子宮癌を患っている話は美幸も知っていた。
癌の治療は金がかかる。
五人の子沢山で貯えもない西田は、泣く泣く妻に土下座して、満足な治療を受けさせられない自分を詫びたと言う。
「し、しかし若、個人の力では・・」
慌てた川上も、自分の財布を出して中身を数え始めた。
つづく・・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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だがその夜は必ず、どんなに疲れていても彼等を飲みに誘った。
また年配の社員には、結婚記念日に花を贈るなど細やかな気を遣っていた。
こうして青砥は、硬軟両様で荒くれ男達の心をしっかりとつかんでいった。
事務所へ入るなり青砥が呼んだ。
「川上部長、佐久田さん、ちょっと来てくれないか?」
会議室に入ると、青砥はテーブルに個人の貯金通帳と印鑑を置いた。
「若、どうしたんですか?」
「うん、西川さんのことだが・・」
設計部にいる西田課長の妻が、子宮癌を患っている話は美幸も知っていた。
癌の治療は金がかかる。
五人の子沢山で貯えもない西田は、泣く泣く妻に土下座して、満足な治療を受けさせられない自分を詫びたと言う。
「し、しかし若、個人の力では・・」
慌てた川上も、自分の財布を出して中身を数え始めた。
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