『愛憎の流砂』・・・第十章
『愛憎の流砂』
※ 男の愛撫にうねる白い肌・・・
愛人に溺れる母を恨み呪う少女・・・
やがて大人になった少女は、思いもよらぬ運命に手繰られていく。
第十章
美幸は事務所のドアを開けた。
「おはようございます」
すでに社員はほとんど現場へ出かけた後で、四十坪ほどある事務所はがらんとしていた。
美幸がパソコンを立ち上げると、青砥建設で最古参の川上総務部長が近づいてきた。
「おっ、佐久田さん。今朝はちょっと目が腫れぼったいね。昨夜は旦那と激しかったのかな?」
もう六十歳近い根っからの好色爺は、ブラウスの襟元から覗く谷間にちらっと視線を落とした。
「そ、そんなことありません」
美幸は襟元を掻き合わせると、てかてか太った赤ら顔を睨みつけた。
「あはは、女盛りだからなあ。旦那だけで足りないようなら、いつでもワシを携帯で呼び出してくれよ」
撫でるように美幸の肩を叩くと、川上は呵々大笑しながら席へ戻って行った。
セクハラと世間では言うのだろうが、気の荒い男が集まる職場では、このぐらいの戯れは日常茶飯事だった。
もちろん川上に悪気はない。
むしろ女が一人しかいない職場で、美幸を気遣って話しかけてくれているのだ。
別に良家の奥様でもない美幸は、かえってそんな職場が気安かった。
スーパーのレジやコンビニのバイトより高給で、経理を一人で切り盛りするのもやりがいがあった。
昼過ぎ、社長の青砥武志が帰ってきた。
青砥は四十五歳、一昨年父親からこの会社を継いだばかりだった。
私立の中学校に通う娘が二人いて、横浜港近くの臨海マンションに自宅があった。
先代の忠臣で、現社長の補佐役でもある川上は、よく青砥を風林火山の武田信玄に喩えた。
つづく・・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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「そ、そんなことありません」
美幸は襟元を掻き合わせると、てかてか太った赤ら顔を睨みつけた。
「あはは、女盛りだからなあ。旦那だけで足りないようなら、いつでもワシを携帯で呼び出してくれよ」
撫でるように美幸の肩を叩くと、川上は呵々大笑しながら席へ戻って行った。
セクハラと世間では言うのだろうが、気の荒い男が集まる職場では、このぐらいの戯れは日常茶飯事だった。
もちろん川上に悪気はない。
むしろ女が一人しかいない職場で、美幸を気遣って話しかけてくれているのだ。
別に良家の奥様でもない美幸は、かえってそんな職場が気安かった。
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昼過ぎ、社長の青砥武志が帰ってきた。
青砥は四十五歳、一昨年父親からこの会社を継いだばかりだった。
私立の中学校に通う娘が二人いて、横浜港近くの臨海マンションに自宅があった。
先代の忠臣で、現社長の補佐役でもある川上は、よく青砥を風林火山の武田信玄に喩えた。
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