『愛憎の流砂』・・・第八章
『愛憎の流砂』
※ 男の愛撫にうねる白い肌・・・
愛人に溺れる母を恨み呪う少女・・・
やがて大人になった少女は、思いもよらぬ運命に手繰られていく。
第八章
美幸は会社に出入りする大手銀行の正彦に目をつけていた。
二歳年上だった正彦は、とにかく仕事一途で、デートに誘っても会社の話しかできなかった。
逆にそんな面白味のなさが、美幸の目論む将来図にぴったりと当てはまっていた。
下着をつけた美幸は、寝室を出て子供部屋へ向かった。
すやすやと眠る愛美。
(この娘を不幸にしてはいけない)
それが美幸の描く人生設計図の原点だった。
陽射し溢れる芝生の庭でじゃれあう仔犬と愛美を、リビングの窓から紅茶を飲みながら優しく眺めている。
そんなドラマの一場面に出てくるような家庭像が、不幸せな少女時代を強いられた美幸の夢だった。
結婚も夢を実現するための手段に過ぎなかった。
不況にも揺らがない磐石な経済力と、家族を裏切らない誠実さを美幸は夫となる男に求めた。
恋だの愛だのでは暮らしを守れない。
一時の感情に流され、一生の苦労を背負うのは愚の骨頂だと蔑んだ。
夫とは、頼って生きるものではなく、女が描く人生設計図の協力者と考えるべきなのだ。
脳裏に九十九里浜の荒波が浮かぶ。
「お母ちゃんの馬鹿っ!」
真冬の砂浜で、母と愛人の情事が終わるのを待ち続けた記憶が、冷酷なまでに計算づくの設計図を美幸に描かせたのだ。
そっと愛美の頬を掌で撫でてみた。
柔らかな頬から伝わるぬくもりだけが、凍てついた美幸の心をつかの間だけ溶かしてくれた。
つづく・・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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そんなドラマの一場面に出てくるような家庭像が、不幸せな少女時代を強いられた美幸の夢だった。
結婚も夢を実現するための手段に過ぎなかった。
不況にも揺らがない磐石な経済力と、家族を裏切らない誠実さを美幸は夫となる男に求めた。
恋だの愛だのでは暮らしを守れない。
一時の感情に流され、一生の苦労を背負うのは愚の骨頂だと蔑んだ。
夫とは、頼って生きるものではなく、女が描く人生設計図の協力者と考えるべきなのだ。
脳裏に九十九里浜の荒波が浮かぶ。
「お母ちゃんの馬鹿っ!」
真冬の砂浜で、母と愛人の情事が終わるのを待ち続けた記憶が、冷酷なまでに計算づくの設計図を美幸に描かせたのだ。
そっと愛美の頬を掌で撫でてみた。
柔らかな頬から伝わるぬくもりだけが、凍てついた美幸の心をつかの間だけ溶かしてくれた。
つづく・・・
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