『愛憎の流砂』・・・第三章
『愛憎の流砂』
※ 男の愛撫にうねる白い肌・・・
愛人に溺れる母を恨み呪う少女・・・
やがて大人になった少女は、思いもよらぬ運命に手繰られていく。
第三章
母が離婚した原因はわからないが、呑んだくれで暴力をふるう父が少女は嫌いだった。
六畳一間のアパートで毎日のように繰り返される夫婦喧嘩。
少女はむしろ、離婚して母と二人で暮らせるのが嬉しかった。
だが喜びは叶えられることなく潰えた。
今日もランドセルを背負った少女は、寄り道しないで学校から家へ帰った。
「ただいま」
玄関のガラス戸を開けると、そこには男物の黒い長靴が揃えられていた。
少女は顔を曇らせて立ち尽くした。
「お帰り」
しばらくして奥の襖が開いて母が出てきた。
真冬だと言うのにシミーズ姿の母は、白い肌をピンク色に上気させ、ほつれた髪を頬に絡ませていた。
「お小遣いをやるから、外で友達と遊んでおいで」
とろんと目を半開きにした母は、おぼつかない足取りで少女に十円玉を握らせた。
二三歩後ずさった少女は、逃げるように家を飛び出した。
東京から戻った母は水産加工会社で働いていた。
豊漁だった昔は、イワシを干鰯と呼ばれる肥料にした。
ところが漁獲量が減った昨今では、丸干しやミリン干しなど、食用として加工する工場が地元で増えている。
母の仕事は伝票の整理や帳簿づけをする事務だが、実際のところは社長の愛人だった。
その水産加工会社は、かつて地元の網元だった蓮沼家が経営していた。
その五代目にあたる当主が、今年四十五歳になる母の中学での同級生だった。
その縁で、蓮沼は東京から戻ってきた母の身を囲った。
ラブホテルもない田舎で、二人が逢瀬を重ねるのはもっぱら少女の家だった。
つづく・・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
★『降矢木士朗・紅殻格子 メディア掲載作品&携帯小説配信サイト』紹介はこちらです★
『妄想の囲炉裏端』]掲示板入り口
官能小説ランキングに参加しています。
皆様から頂くクリック↓数が書く励みとなります。
応援、宜しくお願いいたしますm(__)m
にほんブログ村 恋愛小説(愛欲)
FC2 官能小説
人気ブログランキング~愛と性~
※ 男の愛撫にうねる白い肌・・・
愛人に溺れる母を恨み呪う少女・・・
やがて大人になった少女は、思いもよらぬ運命に手繰られていく。
第三章
母が離婚した原因はわからないが、呑んだくれで暴力をふるう父が少女は嫌いだった。
六畳一間のアパートで毎日のように繰り返される夫婦喧嘩。
少女はむしろ、離婚して母と二人で暮らせるのが嬉しかった。
だが喜びは叶えられることなく潰えた。
今日もランドセルを背負った少女は、寄り道しないで学校から家へ帰った。
「ただいま」
玄関のガラス戸を開けると、そこには男物の黒い長靴が揃えられていた。
少女は顔を曇らせて立ち尽くした。
「お帰り」
しばらくして奥の襖が開いて母が出てきた。
真冬だと言うのにシミーズ姿の母は、白い肌をピンク色に上気させ、ほつれた髪を頬に絡ませていた。
「お小遣いをやるから、外で友達と遊んでおいで」
とろんと目を半開きにした母は、おぼつかない足取りで少女に十円玉を握らせた。
二三歩後ずさった少女は、逃げるように家を飛び出した。
東京から戻った母は水産加工会社で働いていた。
豊漁だった昔は、イワシを干鰯と呼ばれる肥料にした。
ところが漁獲量が減った昨今では、丸干しやミリン干しなど、食用として加工する工場が地元で増えている。
母の仕事は伝票の整理や帳簿づけをする事務だが、実際のところは社長の愛人だった。
その水産加工会社は、かつて地元の網元だった蓮沼家が経営していた。
その五代目にあたる当主が、今年四十五歳になる母の中学での同級生だった。
その縁で、蓮沼は東京から戻ってきた母の身を囲った。
ラブホテルもない田舎で、二人が逢瀬を重ねるのはもっぱら少女の家だった。
つづく・・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
★『降矢木士朗・紅殻格子 メディア掲載作品&携帯小説配信サイト』紹介はこちらです★
『妄想の囲炉裏端』]掲示板入り口
官能小説ランキングに参加しています。
皆様から頂くクリック↓数が書く励みとなります。
応援、宜しくお願いいたしますm(__)m
にほんブログ村 恋愛小説(愛欲)
FC2 官能小説
人気ブログランキング~愛と性~