『愛憎の流砂』・・・第二章
『愛憎の流砂』
※ 男の愛撫にうねる白い肌・・・
愛人に溺れる母を恨み呪う少女・・・
やがて大人になった少女は、思いもよらぬ運命に手繰られていく。
第二章
押し手の女達はおっぺしと呼ばれた。
おっぺしとは、押すを意味する関東地方の方言で、多くは漁師の女房達が駆り出された。
イワシの浜値は冬が高い。
だが凍える海中では、とても皮下脂肪の薄い男衆は堪えられない。
素潜りでも海士より海女が多いように、冬の海でのおっぺしは、女にしかできない仕事だった。
千葉の女が働き者と言う俗諺は、このおっぺしに負うところが大きいのかもしれない。
掛け声とともに女達が船を押す。
身につけているのは短パンだけで上半身は素肌だった。
高い波が押し寄せるたび、女達は飛沫を浴びて悲鳴をあげた。
若い女房の乳房が青空の下で弾力豊かに弾ける。
寒さのあまり、乳暈が粟粒立って小さく凝縮している。
男衆達の視線も気にかけず、女房は乳房を肌蹴て一心不乱に船を押す。
喧騒溢れる砂浜に、ぽつんと一人で少女が佇んでいた。
赤いスカートをはためかせた少女は、強風に逆らうように、か細い両脚を踏ん張って女達を見つめた。
おかっぱ頭が風に乱れて顔を叩く。
手に握りしめた十円玉。
その寒風に凍えた頬に、つっと温かい涙が一筋伝った。
少女は小学四年生――母と二人で暮らしていた。
昨年まで東京の下町に住んでいた少女は、両親の離婚で、母に連れられてこの漁村へやってきた。
母は九十九里浜の出身だった。
漁師の祖父母はすでに他界していたが、空き家になっていた板葺き平屋の実家で、母と娘はひっそりと暮らし始めた。
つづく・・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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高い波が押し寄せるたび、女達は飛沫を浴びて悲鳴をあげた。
若い女房の乳房が青空の下で弾力豊かに弾ける。
寒さのあまり、乳暈が粟粒立って小さく凝縮している。
男衆達の視線も気にかけず、女房は乳房を肌蹴て一心不乱に船を押す。
喧騒溢れる砂浜に、ぽつんと一人で少女が佇んでいた。
赤いスカートをはためかせた少女は、強風に逆らうように、か細い両脚を踏ん張って女達を見つめた。
おかっぱ頭が風に乱れて顔を叩く。
手に握りしめた十円玉。
その寒風に凍えた頬に、つっと温かい涙が一筋伝った。
少女は小学四年生――母と二人で暮らしていた。
昨年まで東京の下町に住んでいた少女は、両親の離婚で、母に連れられてこの漁村へやってきた。
母は九十九里浜の出身だった。
漁師の祖父母はすでに他界していたが、空き家になっていた板葺き平屋の実家で、母と娘はひっそりと暮らし始めた。
つづく・・・
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