『妻は官能小説家』・・・第十六章
『妻は官能小説家』
~作品紹介~
男と女を卒業してしまった夫婦。
セックスレスの妻から目をそらして、愛人との淫欲に溺れる夫。
だが妻は、密かに慕う男との愛欲を密かに小説に綴っていた。
その小説を読んだ夫は・・
第十六章
雄士が由希と浮気できるのも、美佳がいてくれるからこそだった。
(美佳の心が揺れている)
映画館で男に内腿をまさぐらせて、美佳は胸をときめかせているのだ。
いつ一家を支える気持ちを失い、家事や育児を放棄して男の許へ走るやもわからない。
もちろん小説が事実である必要はない。
美佳の書いた小説は空想の産物かもしれない。
だが事実か否かは別として、そこには美佳の思いが込められている。
今浮気していなくても、その欲望が美佳の心に巣食っていることは間違いない。
その日も雄士は早々に帰宅した。
美佳は普段と変わらず夕飯の支度をしていた。
テーブルを囲み、美玖も含めた家族三人で食事が始まる。
(偽りの団欒か)
表面は和やかな家庭だが、美佳の心はすでにこの場を離れ、遠く男の許へ飛んで行っているに違いない。
雄士は美佳へ目を遣った。
妻の顔をよく見るのは結婚して初めてかもしれない。
いつもは育児疲れした顔が、どこか艶めいて女らしく感じられた。
(もう抱かれたのか・・)
嫉妬と後悔が雄士を襲った。
確かに雄士は美佳を女として扱って来なかった。
まさかそれが、他の男に走るほど負い目だったとは夢想だにしなかった。
雄士は缶ビール片手にテレビを観ながら、悶々として美佳が眠るのを待った。
つづく・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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