『妻は官能小説家』・・・第十五章
『妻は官能小説家』
~作品紹介~
男と女を卒業してしまった夫婦。
セックスレスの妻から目をそらして、愛人との淫欲に溺れる夫。
だが妻は、密かに慕う男との愛欲を密かに小説に綴っていた。
その小説を読んだ夫は・・
第十五章
美佳の小説が原因だった。
小説は未完で終わっていたが、留美と言う主人公が、美佳自身であることはすぐにわかった。
(まさか美佳が・・)
雄士にとって雷に打たれたような衝撃だった。
もちろん雄士の浮気に気づいていたこともそうだが、娘の友達の父親へ、美佳が女の感情を抱いていることにショックを受けた。
だが小説を読んだ夜、美佳を問い詰めることはしなかった。
携帯のアドレスをもらっただけで、美佳が浮気したか否かは、続きを読まなければわからなかった。
(この後、美佳は・・)
そればかりが気になった。
美佳が男に奪われると想像しただけで、雄士の心は千々に乱れるのだった。
パソコンの画面にメールの受信が表示された。
由希だった。
由希は同じ事務所のフロアで経理伝票を入力している。
『どうしたんですか? 編集長に叱られるなんて、荒木さんらしくないですよ。今晩デートしましょう。たっぷり慰めてあげますから・・ウフフ・・』
ちらっと由希の顔を見た。
何ごともないようにパソコンへ向かっている。
『ごめん。今夜は用事があるんだ。この穴埋めはまた・・』
雄士はメールを返信した。
メールを開封した由希が、少し寂しそうな顔をした。
用事があるのは嘘だった。
今の雄士に由希との逢瀬を楽しむ余裕などなかった。
ガラガラと生活が音を立てて崩れ始めているのだ。
しっかりした美佳がいてくれるからこそ、荒木家は人並みに生活を営んでいけるのだ。
つづく・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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