『妻は官能小説家』・・・第十二章
『妻は官能小説家』
~作品紹介~
男と女を卒業してしまった夫婦。
セックスレスの妻から目をそらして、愛人との淫欲に溺れる夫。
だが妻は、密かに慕う男との愛欲を密かに小説に綴っていた。
その小説を読んだ夫は・・
第十二章
体に魅力がないのだ。
夫より三歳も年上だし、出産してからはなかなか体型が戻らなかった。
珍しく体を求められても、途中で夫が冷めてしまうことが何度かあった。
留美の表情が曇るのを見て、昌尚は明るく取り繕った。
「いや、奥さん・・つまらないことを口にして申し訳ありませんでした。もうこの話はやめましょう」
「あ、私こそ・・いやだ、ごめんなさい」
昌尚は子供達を促すと、ハンバーガーショップを後にした。
アニメ映画に、未来と愛莉は興奮して歓声を上げた。
だが留美は映画も上の空で、ドキドキと胸を高鳴らせていた。
(まさか隣同士でなんて・・)
予想外の展開だった。
子供達を並ばせて両端に親が座るとばかり思っていた。
ところが昌尚は子供同士を座らせると、愛莉と離れて留美の隣に座ったのだった。
昌尚の鼓動が聞こえてきそうだった。
「奥さんは今のままでとても美しいです」
留美の心にその言葉が何度も木霊した。
何年ぶりだろうか、女として見られる喜びに心は浮かれていた。
暗闇で何かが太腿に触れた。
留美はピクッと全身を震わせた。
スクリーンの反射光が仄かに蠢く手を映した。
昌尚の手だった。
(えっ?)
ちらっと隣の昌尚を横目に見た。
太腿の外側に手の甲が触れたまま、昌尚は食い入るようにスクリーンを見つめている。
(気づいていないのかしら?)
注意するべきか留美は迷った。
せっかく映画を楽しんでいるのに、たかが手が触れているだけで不粋かとも思った。
だがそれを了解のサインだと誤解したのか、暗闇をいいことに、昌尚の手はもぞもぞと太腿を這い始めたのだった。
つづく・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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