『妻は官能小説家』・・・第十一章
『妻は官能小説家』
~作品紹介~
男と女を卒業してしまった夫婦。
セックスレスの妻から目をそらして、愛人との淫欲に溺れる夫。
だが妻は、密かに慕う男との愛欲を密かに小説に綴っていた。
その小説を読んだ夫は・・
第十一章
デートと言う言葉が懐かしかった。
夫ではない男と話すのは何年ぶりだろうか。
専業主婦の留美にとって、新聞屋と宅急便のオジサン以外、こうして男と話すことなど日常生活ではほとんどない。
「えっ・・わ、私・・奥様に比べたら美人なんかじゃ・・」
並んで歩くと落ち込むほど、まだ三十代前半の彩花は美人だった。
受付嬢として働いていることもあって、留美のような専業主婦とは、化粧や身嗜みの次元が違っていた。
「そんなことはありませんよ。化粧品屋が言うんだから間違いありません。奥さんは今のままでとても美しいです」
「・・はあ」
お世辞だとわかっていても、昌尚の言葉は嬉しかった。
留美を女として昌尚は扱ってくれているのだ。
「でも主人はそんなことは一切言ってくれません」
「それは照れくさいからですよ。私も彩花には口が裂けても言えませんよ」
「いえ、主人は本当に・・私を・・」
心ならずも留美は暗い表情で俯いてしまった。
留美は夫に女がいるのを知っていた。
週に二三度は会社のつきあいで午前様になる。
だが会社のつきあいと言いながら、スーツに香水の匂いを漂わせていた。
それもいつも同じ香水の匂いだった。
ところが留美は夫の浮気を知りながら、咎めることができなかった。
(愛想を尽かされているんだわ)
未来を出産してから五年、両手の数しか体を求められたことがなかった。
つづく・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
★『降矢木士朗・紅殻格子 メディア掲載作品&携帯小説配信サイト』紹介はこちらです★
『妄想の囲炉裏端』]掲示板入り口
官能小説ランキングに参加しています。
皆様から頂くクリック↓数が書く励みとなります。
応援、宜しくお願いいたしますm(__)m
にほんブログ村 恋愛小説(愛欲)
FC2 官能小説
人気ブログランキング~愛と性~