『妻は官能小説家』・・・第十章
『妻は官能小説家』
~作品紹介~
男と女を卒業してしまった夫婦。
セックスレスの妻から目をそらして、愛人との淫欲に溺れる夫。
だが妻は、密かに慕う男との愛欲を密かに小説に綴っていた。
その小説を読んだ夫は・・
第十章
愛莉と未来が、昌尚のジャケットの裾を引っ張った。
「ねえ、お腹空いたよ」
まだ一時までには時間がある。
愛莉の母親、彩花とは映画を観る前に昼食を取る約束をしていた。
「よし、じゃあハンバーガーを食べようか?」
「わ~い」
子供達は喜んだが、彩花がいないのに留美は気づいた。
「ところで奥様はどちらに?」
「ああ、申し遅れました。妻は仕事が休めなかったので、今日は僕がピンチヒッターです」
留美はドキッとした。
てっきり妻の彩花も一緒だと思っていたからだ。
娘の友人の父親だが昌尚は男である。
時間をかけて化粧をしてきて良かったと、留美は安堵した。
ハンバーガーの店で大騒ぎする子供達を叱りながら、昌尚は緊張する留美との会話をリードした。
「私は化粧品会社で営業をしていまして、この近辺を担当しているんです」
「化粧品の・・」
「ええ、デパートや薬局を回るのですが、時間が結構自由になるもので、時々妻の代わりに愛莉の面倒を見ています」
「え・・それじゃ今日は会社をさぼって?」
「しっ、そんな大きな声を出さないで」
昌尚は慌ててキョロキョロ周囲を見た。
その仕草に留美はお腹を抱えて笑った。
さらに昌尚はふざけた口ぶりで言った。
「今日は彩花の代わりに来て良かった。こんな美人の奥さんとデートできるなんて」
つづく・・
※ お知らせ ※
2月22日発売の月刊文芸誌『祥伝社・小説NON3月号』に紅殻格子作「あやかしの肌」が掲載されました。
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