『妻は官能小説家』・・・第五章
『妻は官能小説家』
~作品紹介~
男と女を卒業してしまった夫婦。
セックスレスの妻から目をそらして、愛人との淫欲に溺れる夫。
だが妻は、密かに慕う男との愛欲を密かに小説に綴っていた。
その小説を読んだ夫は・・
第五章
午前零時過ぎ。
由希と別れた雄士は、東京郊外のマンションへ帰宅した。
自分の鍵で玄関を開けると、まだリビングには明かりが灯っていた。
「おかえりなさい」
妻の美佳が、リビングに置かれたパソコンを消して着替えを持ってきた。
「お風呂が沸いているけど、お茶漬けをつくりましょうか?」
「いや、自分でやるからいいよ。もう遅いから先に寝てくれ」
ネクタイを外しながら、雄士はテレビの電源を入れた。
「ええ・・でも・・」
いつもなら先に休んでいる美佳だが、今夜に限ってはソファから動こうとしなかった。
テーブルの上に鉢植えが置かれていた。
冬だと言うのに、俯き加減に咲く白い花を一輪だけつけている。
美佳はその花を見ながらじっと押し黙った。
雄士より三つ年上の美佳は、今年三十六歳になる。
細面な輪郭に切れ長な瞳と薄めの口唇が、着物が似合いそうな和風の顔立ちを醸している。
能面とまでは言わないが、あまり感情を表面に出さないせいか、実際の年齢よりもやや年上に見られがちだった。
雄士と美佳は結婚して七年目を迎える。
美佳もまた、同じ出版社の経理として勤務していた。
まだ新米で一人暮らしだった雄士に、年上の美佳は姉のように世話を焼いてくれた。
その心地良さにほだされて、雄士は美佳と交際を始めたのだった。
つづく・・
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