『喝采』・・・第二十八章
『喝 采』 ・・・作品紹介・・・
「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第二十八章
目に沁みる青空から、まだ弱々しいが、春を予感させる陽射しが降りそそいでいる。
一月下旬の南房総。
温暖な気候を利用して、真冬の都心へ出荷する花の栽培が盛んな土地である。
海岸に面した丘には、菜の花やキンセンカ、ポピー、ストックなどが、鮮やかな彩りの絨毯を広げていた。
美咲はその絨毯の真ん中に立っていた。
「さあ、お昼にしましょう」
花畑の脇にシートを敷いた美咲は、早朝に起きてつくったお弁当を広げた。
花畑の山側には外房線の線路があり、その脇でカメラの三脚を組み立てていた弘明と大志が戻って来た。
「パパ、本当に蒸気機関車が走るの?」
「ああ、D51が煙を吐きながら目の前を通るんだよ。でもその前にママの作ったお弁当を食べよう」
「うん」
二人は興奮気味におにぎりを頬張った。
今日は房総の観光キャンペーンで、勝浦と館山間を蒸気機関車が運行される日だった。
花畑を走る機関車を撮影したい弘明に誘われて、美咲と大志も弁当持参で早春の南房総へ足を運んでいた。
美咲はエターナル社を退職した。
華やかな世界を去って平凡な専業主婦に戻ったのだった。
愛する逸見に裏切られ、政略結婚さながら、美咲は鮫洲の毒牙に穢された。
美咲はビジネス界の醜悪さを知った。
煌く世界の裏側に、冷酷な金の論理と非情な男達の欲望を垣間見た。
結局、エターナル社は鮫洲の傘下に収まったが、馬場に続いて美咲を失い、今は更なる転売先を探しているらしい。
つづく・・・
『不如帰~永遠の嘘』『色褪せぬ薔薇』 携帯小説サイト配信情報
[妄想の囲炉裏端]~掲示板入り口~
「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第二十八章
目に沁みる青空から、まだ弱々しいが、春を予感させる陽射しが降りそそいでいる。
一月下旬の南房総。
温暖な気候を利用して、真冬の都心へ出荷する花の栽培が盛んな土地である。
海岸に面した丘には、菜の花やキンセンカ、ポピー、ストックなどが、鮮やかな彩りの絨毯を広げていた。
美咲はその絨毯の真ん中に立っていた。
「さあ、お昼にしましょう」
花畑の脇にシートを敷いた美咲は、早朝に起きてつくったお弁当を広げた。
花畑の山側には外房線の線路があり、その脇でカメラの三脚を組み立てていた弘明と大志が戻って来た。
「パパ、本当に蒸気機関車が走るの?」
「ああ、D51が煙を吐きながら目の前を通るんだよ。でもその前にママの作ったお弁当を食べよう」
「うん」
二人は興奮気味におにぎりを頬張った。
今日は房総の観光キャンペーンで、勝浦と館山間を蒸気機関車が運行される日だった。
花畑を走る機関車を撮影したい弘明に誘われて、美咲と大志も弁当持参で早春の南房総へ足を運んでいた。
美咲はエターナル社を退職した。
華やかな世界を去って平凡な専業主婦に戻ったのだった。
愛する逸見に裏切られ、政略結婚さながら、美咲は鮫洲の毒牙に穢された。
美咲はビジネス界の醜悪さを知った。
煌く世界の裏側に、冷酷な金の論理と非情な男達の欲望を垣間見た。
結局、エターナル社は鮫洲の傘下に収まったが、馬場に続いて美咲を失い、今は更なる転売先を探しているらしい。
つづく・・・
『不如帰~永遠の嘘』『色褪せぬ薔薇』 携帯小説サイト配信情報
[妄想の囲炉裏端]~掲示板入り口~