『喝采』・・・第二十二章
『喝 采』 ・・・作品紹介・・・
「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第二十二章
やがて懐石料理も、締め括りのフルーツが運ばれてきた。
「いやはや、関東でこんな上手い懐石が食べられるとは思わんかった。逸見君の心遣いに感謝するばかりや」
「有難うございます。是非今後とも、関東製薬を懇意にして戴ければと存じます。また三浦君のエターナル社も、何卒良しなにお願いします」
「おうおう、わしに任しておけや」
逸見は頭を下げながら、上目遣いに鮫洲の顔を見上げた。
「それでは、私はそろそろ退席させて戴きます」
「えっ?」
美咲は吃驚して逸見の顔を見た。
「ああ、三浦君には言っていなかったか。実は明日からアメリカへ出張でね・・今夜大阪へ戻らなければならないんだ。私の代わりとして、鮫洲先輩には失礼がないようにしてくれよ」
「・・・・」
「逸見君、年寄りのことなど気にするな。わしも君ぐらいの頃は、寝る間も惜しんで全国を飛び回っておったわい」
「申し訳ございません。ではごゆっくりおくつろぎ下さい」
呆然とする美咲を置き去りにして、逸見はそそくさと離れを出て行った。
鮫洲と美咲だけが広い座敷にぽつんと残された。
鮫洲はポンと膝を叩いた。
「さてと、美味いもんも腹一杯食ったし、もうひと風呂浴びてから、ゆっくりあんたの相談でも聞いたろか。後でまたこの部屋に来るとええ」
「・・は、はい」
断わる隙を与えさせない老練な誘いだった。
美咲は一旦母屋にある部屋に戻ると、温泉に浸かってこの先の展開を読んだ。
つづく・・・
『不如帰~永遠の嘘』『色褪せぬ薔薇』 携帯小説サイト配信情報
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「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第二十二章
やがて懐石料理も、締め括りのフルーツが運ばれてきた。
「いやはや、関東でこんな上手い懐石が食べられるとは思わんかった。逸見君の心遣いに感謝するばかりや」
「有難うございます。是非今後とも、関東製薬を懇意にして戴ければと存じます。また三浦君のエターナル社も、何卒良しなにお願いします」
「おうおう、わしに任しておけや」
逸見は頭を下げながら、上目遣いに鮫洲の顔を見上げた。
「それでは、私はそろそろ退席させて戴きます」
「えっ?」
美咲は吃驚して逸見の顔を見た。
「ああ、三浦君には言っていなかったか。実は明日からアメリカへ出張でね・・今夜大阪へ戻らなければならないんだ。私の代わりとして、鮫洲先輩には失礼がないようにしてくれよ」
「・・・・」
「逸見君、年寄りのことなど気にするな。わしも君ぐらいの頃は、寝る間も惜しんで全国を飛び回っておったわい」
「申し訳ございません。ではごゆっくりおくつろぎ下さい」
呆然とする美咲を置き去りにして、逸見はそそくさと離れを出て行った。
鮫洲と美咲だけが広い座敷にぽつんと残された。
鮫洲はポンと膝を叩いた。
「さてと、美味いもんも腹一杯食ったし、もうひと風呂浴びてから、ゆっくりあんたの相談でも聞いたろか。後でまたこの部屋に来るとええ」
「・・は、はい」
断わる隙を与えさせない老練な誘いだった。
美咲は一旦母屋にある部屋に戻ると、温泉に浸かってこの先の展開を読んだ。
つづく・・・
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