『喝采』・・・第二十章
『喝 采』 ・・・作品紹介・・・
「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第二十章
浴衣に褞袍姿の鮫洲は、満足そうに舌鼓を打った。
「こら、ええ隠れ家や、逸見君」
「有難うございます。先輩に喜んで戴けて嬉しい限りです」
普段は頭など下げることのない逸見が、でっぷりと太った禿頭の老人に媚びへつらった。
鮫洲は六十二歳、一代で巨大ドラッグチェーンを立ち上げた立志伝中の人物である。
鮫洲は大阪の出身で、逸見が出た高校柔道部のOBに当たる。
関東製薬が大きく発展できたのも、鮫洲との人脈が大きく影響していると言われていた。
美咲は浴衣の袖を手繰って鮫洲へ徳利を傾けた。
「しかも美しいご婦人のお酌つきとは極楽浄土や」
「あら、もう姥桜ですわ」
「いやいや、テレビで見るよりずっと美しい。こんな女性に惚れられる逸見君が羨ましい限りや」
鮫洲は、美咲が東京妻であることを知っているらしい。
だが真っ赤に茹で上がった顔で美咲を見つめると、大胆にも鮫洲は座卓の下から太腿へ手を伸ばしてきた。
年を取っても、その目にはまだ男の欲望が燃え盛っていた。
蠢く手を知ってか知らずか、逸見は愛想よく鮫洲のご機嫌を窺った。
「先輩のお望みと伺いまして、すぐに三浦君を東京から呼び寄せました。彼女も先輩にお会いできて光栄でしょう」
「うん、そうかね・・確かあんたは化粧品会社の社長をしているじゃったな」
「はい、小さな会社ですが、エターナル・コスメティックスと申します」
「わしの店でも化粧品は扱っておる。相談があれば何でも聞いてやるぞ」
「宜しくお願い致します」
つづく・・・
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「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第二十章
浴衣に褞袍姿の鮫洲は、満足そうに舌鼓を打った。
「こら、ええ隠れ家や、逸見君」
「有難うございます。先輩に喜んで戴けて嬉しい限りです」
普段は頭など下げることのない逸見が、でっぷりと太った禿頭の老人に媚びへつらった。
鮫洲は六十二歳、一代で巨大ドラッグチェーンを立ち上げた立志伝中の人物である。
鮫洲は大阪の出身で、逸見が出た高校柔道部のOBに当たる。
関東製薬が大きく発展できたのも、鮫洲との人脈が大きく影響していると言われていた。
美咲は浴衣の袖を手繰って鮫洲へ徳利を傾けた。
「しかも美しいご婦人のお酌つきとは極楽浄土や」
「あら、もう姥桜ですわ」
「いやいや、テレビで見るよりずっと美しい。こんな女性に惚れられる逸見君が羨ましい限りや」
鮫洲は、美咲が東京妻であることを知っているらしい。
だが真っ赤に茹で上がった顔で美咲を見つめると、大胆にも鮫洲は座卓の下から太腿へ手を伸ばしてきた。
年を取っても、その目にはまだ男の欲望が燃え盛っていた。
蠢く手を知ってか知らずか、逸見は愛想よく鮫洲のご機嫌を窺った。
「先輩のお望みと伺いまして、すぐに三浦君を東京から呼び寄せました。彼女も先輩にお会いできて光栄でしょう」
「うん、そうかね・・確かあんたは化粧品会社の社長をしているじゃったな」
「はい、小さな会社ですが、エターナル・コスメティックスと申します」
「わしの店でも化粧品は扱っておる。相談があれば何でも聞いてやるぞ」
「宜しくお願い致します」
つづく・・・
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