『喝采』・・・第十九章
『喝 采』 ・・・作品紹介・・・
「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第十九章
売上が激減して社内は動揺した。
今日も午前中、美咲はトイレの中で女性社員のヒソヒソ話を聞いた。
「馬場専務を辞めさせたのは三浦社長らしいわよ」
「何様のつもりかしら。有名人気取りのお神輿社長じゃ、この会社もいよいよ危ないかもね」
「三浦社長って関東製薬社長の愛人でしょう?」
「そうよ、偉そうに女性起業家とかテレビで言っているけど、パトロンに店を持たせてもらったホステスと同じよ」
ボックスの中に美咲がいるとも知らず、女性社員達は経営能力ゼロの淫売社長と嘲笑った。
美咲は社内で針の筵に座らされていた。
会社を維持する重責に胃はキリキリと痛み、社員の不信に捌け口のないストレスは溜まる一方だった。
今となって頼れるのは逸見しかいない。
鮫洲を接待するのも重要だが、今夜は宙に浮いた十億円の増資を再度頼み込むつもりでいた。
やがて車は保養所の門を潜った。
厚生施設の看板を掲げているが、実際は関東製薬が総力をつぎ込んで建設した迎賓館だった。
風情のある日本庭園に、数寄屋造りの大きな母屋がどっしりと構えている。
そして超VIP用には、瀟洒な温泉つきの離れが用意されていた。
ライトアップされた庭園に面した離れで、三人だけの会食が始まった。
お雇いの和食料理人の手で、京都でもなかなか味わえない繊細な懐石が饗される。
漆塗りの座卓を挟んで鮫洲と逸見が向かい合い、美咲は来賓の隣に酌婦として座らされた。
つづく・・・
『不如帰~永遠の嘘』『色褪せぬ薔薇』 携帯小説サイト配信情報
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「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第十九章
売上が激減して社内は動揺した。
今日も午前中、美咲はトイレの中で女性社員のヒソヒソ話を聞いた。
「馬場専務を辞めさせたのは三浦社長らしいわよ」
「何様のつもりかしら。有名人気取りのお神輿社長じゃ、この会社もいよいよ危ないかもね」
「三浦社長って関東製薬社長の愛人でしょう?」
「そうよ、偉そうに女性起業家とかテレビで言っているけど、パトロンに店を持たせてもらったホステスと同じよ」
ボックスの中に美咲がいるとも知らず、女性社員達は経営能力ゼロの淫売社長と嘲笑った。
美咲は社内で針の筵に座らされていた。
会社を維持する重責に胃はキリキリと痛み、社員の不信に捌け口のないストレスは溜まる一方だった。
今となって頼れるのは逸見しかいない。
鮫洲を接待するのも重要だが、今夜は宙に浮いた十億円の増資を再度頼み込むつもりでいた。
やがて車は保養所の門を潜った。
厚生施設の看板を掲げているが、実際は関東製薬が総力をつぎ込んで建設した迎賓館だった。
風情のある日本庭園に、数寄屋造りの大きな母屋がどっしりと構えている。
そして超VIP用には、瀟洒な温泉つきの離れが用意されていた。
ライトアップされた庭園に面した離れで、三人だけの会食が始まった。
お雇いの和食料理人の手で、京都でもなかなか味わえない繊細な懐石が饗される。
漆塗りの座卓を挟んで鮫洲と逸見が向かい合い、美咲は来賓の隣に酌婦として座らされた。
つづく・・・
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