『喝采』・・・第十八章
『喝 采』 ・・・作品紹介・・・
「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第十八章
険しい箱根の山道を車は登って行く。
後部座席の窓からは、立ち枯れた木々に彩られた山々が、闇を孕んだ空に同化して黒ずんでいくのが見える。
美咲は運転手に尋ねた。
「会食に間に合うかしら?」
「はい。逸見社長とお客様は五時頃に到着しております。会食は六時半からです」
「そう・・」
時計に目を遣ると、針は五時半を指していた。強羅へはあと十五分もあれば着くだろう。
今日の午後、美咲は逸見から箱根へ来るように命じられた。
全国展開する大手ドラッグの会長である鮫洲久永を、関東製薬が保有する箱根の保養所で接待すると言う。
薬局向けの大衆薬を持つ関東製薬にとって、ドラッグストアは医療機関と並んで重要な得意先である。
それはエターナル社にとっても同じだった。
もし鮫洲のドラッグストアに化粧品を置いてもらえれば、売上は現在の何倍に増えるか想像もつかない。
そのコネづくりのために、逸見は美咲を会食に同席させるつもりなのだろう。
美咲は流れていく車窓の闇をぼんやりと眺めた。
エターナル社は危機的状況にあった。
説得も虚しく、結局馬場は会社を辞めた。
すると今まで取り扱ってくれていたドラッグストアは、掌を返したように、店頭からエターナル社の化粧品を外し始めたのだ。
つづく・・・
『不如帰~永遠の嘘』『色褪せぬ薔薇』 携帯小説サイト配信情報
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「ママさん社長」として世間の喝采を浴びる美咲。
だが実態は、大手企業を率いる御曹司に惹かれて愛人となり、夫と子供を裏切って手にした社長の地位だった。
順風満帆な美咲だが、頼りにしていた御曹司から会社への融資を断られ・・・
第十八章
険しい箱根の山道を車は登って行く。
後部座席の窓からは、立ち枯れた木々に彩られた山々が、闇を孕んだ空に同化して黒ずんでいくのが見える。
美咲は運転手に尋ねた。
「会食に間に合うかしら?」
「はい。逸見社長とお客様は五時頃に到着しております。会食は六時半からです」
「そう・・」
時計に目を遣ると、針は五時半を指していた。強羅へはあと十五分もあれば着くだろう。
今日の午後、美咲は逸見から箱根へ来るように命じられた。
全国展開する大手ドラッグの会長である鮫洲久永を、関東製薬が保有する箱根の保養所で接待すると言う。
薬局向けの大衆薬を持つ関東製薬にとって、ドラッグストアは医療機関と並んで重要な得意先である。
それはエターナル社にとっても同じだった。
もし鮫洲のドラッグストアに化粧品を置いてもらえれば、売上は現在の何倍に増えるか想像もつかない。
そのコネづくりのために、逸見は美咲を会食に同席させるつもりなのだろう。
美咲は流れていく車窓の闇をぼんやりと眺めた。
エターナル社は危機的状況にあった。
説得も虚しく、結局馬場は会社を辞めた。
すると今まで取り扱ってくれていたドラッグストアは、掌を返したように、店頭からエターナル社の化粧品を外し始めたのだ。
つづく・・・
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