紅殻島(べんがらじま)・・・第十四章
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『 紅 殻 島 』
十四
突然雛子から電話がかかってきた。
「伊勢さん、近所で強盗事件があったの。うん、まだ犯人は捕まっていないわ・・恐くて仕方ないのよ」
「・・はあ」
「あの人は出張中だし、晩ご飯をご馳走するから用心棒で来てくれないかしら?」
伊勢は躊躇した。
「でも、兄貴がいないと・・」
「大丈夫、あの人から電話があって、心配なら伊勢さんに来てもらえって」
そこまで言われると、伊勢も断りづらかった。
終電の時間を確かめてから、休日の午後T市へ向かった。
マンションに着いて、伊勢は出迎えた雛子の姿に吃驚した。
いくら夏とは言え、雛子は白いTシャツと膝上二十センチのスカートを穿いていた。
「恐かったわ、伊勢さん」
「・・あ、いや」
後退りする伊勢の手を取って、雛子は強引にリビングへ招き入れた。
雛子は酒が強い。
まだ日が高い午後から、伊勢は雛子の悪い酒につき合わされることになった。
「でも伊勢さん、あの人はきっと今頃、エジプトでクレオパトラ似の女を抱いているのよ」
「いや、兄貴は雛ちゃん一筋だと思うけどなあ・・」
「ううん、だって帰国しても、接待、接待って、毎日午前様なのよ。私なんか放ったらかしだもの、悔しい!」
勢いに圧倒された伊勢は、雛子の顔から視線を落としてさらに驚いた。
つづく・・・
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