紅殻島(べんがらじま)・・・(第七章)
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『 紅 殻 島 』
七
ぽつりと伊勢が呟いた。
「兄貴には助けてもらってばかりで・・」
高校を卒業した伊勢は、地元で自動車整備工になった。
ところが会社が倒産して、ぶらぶらしているのを見かねた英生が、下請けの自動車部品会社を世話したのだった。
「一寸先は闇だ。俺だって三年後はお前に面倒を看てもらうかもしれん。お互い様だ」
頭を下げる伊勢の背中を英生はポンポンと叩いた。
雛子は意外そうに皮肉った。
「へえ、スケベ男にもいいところがあるじゃない」
「・・伊勢、ただお前が良くないところは、こんな生意気な女がいる店に俺を案内したことだ」
「何よっ、厭なら出て行きな。ふん、エリートだかエリマキトカゲだが知らないが、この店じゃ東大出も中卒も一緒だよ!」
ここぞとばかり、雛子は威勢よく啖呵を切った。
呆気に取られた英生は、ソファの上でひっくり返って大笑いした。
「アハハ、エリートとエリマキトカゲか・・全然似ていないところがいい」
すっかり拍子抜けした雛子は、子供っぽい笑顔の英生につられて笑い出した。
それから、英生は伊勢とちょくちょく店へ顔を見せるようになった。
「わざわざT市から来るなんて、相当お暇なエリートさんね」
「ふん、パンツを穿いた牝ザルがいると聞いて、珍しいもの見たさに来ているだけだ。みんなも見たいんじゃないかな?」
そう言って英生は、周囲の工員達に見えるように、雛子を立たせてスカートを捲り上げた。
つづく・・・
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