紅殻島(べんがらじま)・・・(第六章)
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『 紅 殻 島 』
六
男など皆スケベなのだ。
女とすることは、大企業のエリートも町工場の工員も変わらない。
それなのにお高くとまって偉そうな振りをする男に、水商売歴八年の雛子は無性に腹が立った。
白いショーツに気づいた英生はにっこり笑った。
「そうかな・・でも実態はただのスケベ中年なんだがね」
身を乗り出した英生は、素早く雛子の両脚の間に手を滑り込ませた。
「キャッ!」
慌てて両脚を閉じた雛子だったが、英生の指はしっかりとショーツ中心を捉えていた。
「あはは、せっかく楽しく飲もうとしているのに、客を試そうとする悪いホステスだな」
英生は雛子に触れた指先の匂いをクンクンと嗅いだ。
雛子は吃驚した。
たかが一見の客に、雛子は心の中まで見透かされたのだ。
はらわたが煮えくり返ると同時に、雛子は渡瀬英生と言う男に興味を持った。
驚きを取り繕った雛子は、水割りをつくりながら尋ねた。
「伊勢さんとはどういう関係なの?」
「洟垂れ坊主の頃からの幼馴染さ」
英生は三十六歳の独身、伊勢と同郷の筑豊出身だった。
ボタ山を望む寂れた街で、小学校の頃から一緒に泥だらけになって遊んだ。
だが神童と期待された英生は、福岡の有名高校から東大へ進学した。
そしてこの街から近い自動車メーカーの本社で、出世街道の先頭を邁進していた。
つづく・・・
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