「紅殻島」(べんがらじま)・・・(第五章)
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『 紅 殻 島 』
五・
伊勢俊夫もそんな客の一人だった。
小さな町工場に勤める伊勢は、雛子より五つ年上の三十三歳で、毎晩のようにスナックへ通ってきた。
「伊勢さん、九州の出身なんだって?」
「・・うん、筑豊」
「ねえ、カラオケで炭坑節でもパッと歌って頂戴よ」
「・・ぼ、僕は歌など性に合わん」
雛子目当ての饒舌な男達と違って、口下手な伊勢は、いつもカウンターの隅で独り焼酎を飲んでいた。
高倉健並みの寡黙さだが、その充血した目線はつねに雛子の体に粘りついていた。
だがそんな伊勢が雛子の運命を変えた。
ある夜、伊勢が珍しいスーツ姿の客を連れて来た。
それが渡瀬英生だった。
英生は、日本が世界に誇る自動車会社で、若くして経営企画部の課長を務めていた。
雛子は久しぶりに見る人種に遭遇して、むくむくと持ち前の反抗心が頭をもたげた。
「へえ、凄いエリートさんなんですね」
英生の前にしたボックス席で、雛子はわざとソファへ深く座った。
短いスカートを穿いていた雛子は、ショーツが見えるように少し両脚を開いてみた。
(ほら、スケベ根性を剥き出しにして覗いてごらん、エリート課長さん)
つづく・・・
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