「紅殻島」・・・(第二章)
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『 紅 殻 島 』
二.
むろん紅殻島にも、漁業や農業に携わる島民が二百人ほどいる。だがほぼ同数の売春婦が、小さな島の古びたアパートに巣食っていた。
そしてホテルや旅館などと結託し、お見合い宴会と称して、島ぐるみで売春を生業としているのであった。
高野雛子は、渡船の船着場でぼんやり海を見ていた。
西に傾いた夕陽が、凪いだ海面に穏やかな茜色の波紋をつくっている。
「姐さぁ~ん」
背後で雛子を呼ぶ若い女の声がした。コンパニオン仲間の堤玲奈だった。
玲奈は派手な化粧をほどこし、スラリと脚が長く見えるピンクのベビードールを着ている。
「そろそろ支度せんと間に合わんよ」
海岸に沿って建つ五軒のホテルや旅館は、すでに明かりを灯して、これから渡船で訪れる今宵の客を待っている。
息を切らした玲奈は、雛子の隣で膝を抱いて座った。
まだ二十代半ばの弾力ある乳房が、ベビードールの胸元からこぼれんばかりに覗いている。
雛子はふうっとため息をついた。
「アパートへ戻って化粧するから、玲ちゃん先に行っといて」
「うん、わかった」
大きく頷いた玲奈は、またサンダルをパカポコ鳴らせてホテルへ向かった。
少し頭は足りないが、雛子には玲奈の若さが眩しかった。
つづく・・・
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