「肉形見」 第六章・・・(紅殻格子)
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「肉形見」
六.
居間の掘り炬燵に入ると、
上機嫌で泰治は武彦にお猪口を渡し熱い徳利を傾けた。
「母さんの手料理も久しぶりだろう」
炬燵の上には芋の煮っ転がしや川魚の甘露煮、山菜、漬物など、
素朴な田舎料理ばかりが並べられていた。
東京でコンビニ弁当を食べ飽きていた武彦は、
懐かしくて温かい家庭の味を久しぶりに堪能できた。
武彦は熱い酒をあおった。
兄の智彦が逝って以来、泰治は晩酌の相手をなくして、
寂しい夜を過ごしていたに違いない。
武彦は次第に騙された怒りも忘れた。
そして二年も家に帰らなかった親孝行を恥じ入った。
泰治が再び徳利を武彦に差し出した。
「武彦、今夜はゆっくり飲もう」
野太いごつごつした指が年のせいか小刻みに震えている。
武彦が子供の頃見た泰治の逞しい腕は、いつの間にか細く筋張っていた。
絹江と由紀も一緒に食事を始めた。
絹江も大分白髪が増えた。耳も遠くなりつつあるのか、
由紀は絹江と話す時は声を少し大きめにしている。
武彦も年老いた両親の姿を目の当たりにし、
改めて自分の置かれている立場を思い知らされた。
(苦い酒だ)
呑めば呑むほど平尾家の跡取りという責任が重く覆い被さってくる。
自由気ままな次男坊だった武彦は、急転した人生に戸惑うばかりだった。
つづく・・・
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素朴な田舎料理ばかりが並べられていた。
東京でコンビニ弁当を食べ飽きていた武彦は、
懐かしくて温かい家庭の味を久しぶりに堪能できた。
武彦は熱い酒をあおった。
兄の智彦が逝って以来、泰治は晩酌の相手をなくして、
寂しい夜を過ごしていたに違いない。
武彦は次第に騙された怒りも忘れた。
そして二年も家に帰らなかった親孝行を恥じ入った。
泰治が再び徳利を武彦に差し出した。
「武彦、今夜はゆっくり飲もう」
野太いごつごつした指が年のせいか小刻みに震えている。
武彦が子供の頃見た泰治の逞しい腕は、いつの間にか細く筋張っていた。
絹江と由紀も一緒に食事を始めた。
絹江も大分白髪が増えた。耳も遠くなりつつあるのか、
由紀は絹江と話す時は声を少し大きめにしている。
武彦も年老いた両親の姿を目の当たりにし、
改めて自分の置かれている立場を思い知らされた。
(苦い酒だ)
呑めば呑むほど平尾家の跡取りという責任が重く覆い被さってくる。
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