「禁断の遺伝子」第十四章・・・(紅殻格子)
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『禁断の遺伝子』・・・・紅殻格子
十四・
常夜灯が燈る仄暗い部屋で、周一はじっと天井の木目を眺めていた。
コンクリートで固められたマンションとは違い、同じ静けさでも、
地の底に沈んで行くような寂寥感に圧し潰されそうになる。
隣の布団では、月絵が軽い寝息をたて始めた。
(やるしかない)
意を決した周一は、蛍光灯の明かりを燈して月絵の布団を捲り上げた。
「・・え、どうしたの?」
寝ぼけ眼の月絵を組み敷くと、薄いピンク柄をした寝巻きの前を肌蹴させた。
「あ、あなた、やめて」
「たまにはいいだろう。夫婦なんだから」
抗う月絵に構わず、力づくで周一は寝巻きを脱がせていく。
名前の通り、月のように青白く澄んだ肌が見え隠れする。
やがてノーブラの乳房が露になった。
久しぶりに目にする月絵の乳房だった。
愛人の玲子ほど弾力はないが、身をよじるたびに、
その重量感のある膨らみはゆさゆさと波打った。
やや大きめな小豆色の乳暈と乳首が、熟した肢体を象徴するように、
艶やかな光沢を含んで男の淫欲を誘発する。
「嫌っ、やめて・・隣の部屋には人がいるのよ」
月絵は声を殺して、懸命に覆い被さる周一を押し返した。
「他人に聞かれながらするのも興奮するよ」
「あ、あなた、気でも狂ったの?」
「ほら、あの鴻巣という老人が、襖の陰から覗いているかもしれないぞ」
「やめてっ、あなたは変態だわ!」
遮二無二暴れる月絵の乳房が前後左右へと淫らに揺れた。
周一は月絵の腰辺りに馬乗りになると、 胸のポケットから一枚の写真を取り出した。
「ふん、確かにお前は、亭主を変態呼ばわりするほど高潔な人間だよな」
周一は写真を月絵の鼻先に掲げた。
孝蔵と鴻巣が、四つん這いの静子を前後から責めている写真だった。
「い、嫌ぁ!」
写真の人物に気づいた月絵は、周囲に憚らない声を上げて目を逸らした。
「蔵を整理していたら出てきたんだ。3P、三人プレイだぞ。
お前の両親は人生を楽しんでいたんだなあ」
「や、やめて、穢らわしい。あの人達はあなたと同じで変態だったのよ」
「自分の親まで変態扱いか」
「そうよ、獣よ。人間の皮を被った野蛮な獣だわ。
だってそうでしょう。性欲の虜になってこんな変態行為をしていたのよ」
月絵は目を瞑ったまま、ぷいっと横を向いて口を噤んだ。
つづく・・・