「禁断の遺伝子」第十二章・・・(紅殻格子)
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『禁断の遺伝子』・・・・紅殻格子
十二・
それは二十年前の夏のこと。
いつものように三人が性宴を楽しんでいると、
突然寝室の襖が開き、当時高校三年生だった月絵が立っていた。
神戸の全寮制高校に通っていた月絵は、
予定よりも一日早く帰省してきたのだった。
月絵にすれば、両親を驚かせたかったのだろう。
当時はバス便も遅くまであり、夜八時に集落へ着いた月絵は、
何も知らずにこの家の敷居を跨いだのだった。
もし静子が喘ぎ声を上げていたら、
月絵も座敷には入って来なかったかもしれない。
だがその時は、孝蔵と鴻巣が静子を四つん這いにして、
口と花奥の前後から責め貫いているところだった。
鴻巣は今も青ざめた月絵の顔を忘れられないと言う。
「い、嫌っ!」
狂ったように月絵は絶叫すると、力いっぱい襖を叩き閉め、
そのまま折り返しのバスに乗って神戸へ戻って行った。
それから月絵は古谷野家と音信不通になった。
仕送りは続けているものの、
短大へ通ってからも月絵は古谷野家へ一度も戻らなかった。
それ以降、鴻巣は古谷野家とは疎遠になったが、
月絵が結婚したことを聞き、親子の和解ができたとばかり思っていたらしい。
鴻巣の話を聞いた周一は、
頑ななまでに性を嫌う月絵の心中を覗き見る思いがした。
(それが心の傷になっていたのか・・)
初心な高校生の月絵には、天地がひっくり返るようなショックだろう。
両親の営みを想像することすら不潔であるのに、
獣のような三人の変態行為を目の当たりしたのだ。
続く・・・