小説「懺悔」 第七章・・・
『懺 悔』 紅殻格子
七.
智彦はしばらく立ったまま、ぼんやりと私の下腹部に目を落としていました。
「いやっ、見ないで・・」
私は智彦の視線を避けようと、必死に腰をひねって陰部を隠そうとしました。
「・・これのせいで・・」
何を考えているのかわかりませんが、智彦はそれだけをぼそっ口にすると、
私の開かれた両脚の間に寝そべって覗き込みました。
「全てを壊してしまったんだ」
智彦の言う通りかもしれません。
母は聖なる存在、そして女は俗なる存在。
智彦を産んで私を母にしてくれた陰部が、
またその魔性で、聖なる座から私を突き落としたのです。
母になることは女を捨てることなのでしょう。
でも私はそれができませんでした。
母であることを忘れ、社長が蘇らせてくれた女の悦びに溺れることを選んでしまったのです。
智彦の指が敏感な部分に触れました。
「こんなにびらびらして・・醜い・・グロ過ぎる・・」
「い、いやよ、触らないで」
女を知らないのでしょう。
智彦はそこがどれほど敏感なのかわからず、荒々しく弄り回し始めました。
懸命にいけないと自分に言い聞かせるのですが、
陰唇を捲り返されて無防備な膣に指を押し入れられてしまうと、
どうにも体は勝手に反応してしまいます。
「・・ああ、ダメよ・・やめて、智彦」
智彦は私の気持ちも知らず、新しい玩具でも見つけたように、
自分が生まれてきた陰部を嬲ります。
「濡れてきた」
「いやっ、ああ・・ダメ・・お願い、許して・・」
指で陰部をかき回されるたびに、はしたなくもクチュクチュと卑猥な音がします。
「狂っているよ。息子に触られて感じるなんて」
「感じているんじゃないわ。女は触られるとそうなっちゃうのよ」
「・・ふ~ん、じゃあ、ここは?」
智彦の指が大きくなったクリトリスを摘みました。
「あっ、いやっ!」
反射的にぴくっと体が痙攣してしまいます。
私は女に生まれたことを恨むばかりでした。
男だって女に男性を弄られたら、生理的に大きくなるはずです。
それは女だって同じです。でもそれが女は道徳的に許されないのです。
自己弁護しているわけではありません。
でも父親が浮気しても大目に見られるのに、
母親だとこれほど恐ろしい責め苦を受けねばならないのです。
智彦のいたぶりは続きます。
「これでも感じていないと言い張るのか?」
「ああ・・だめ、そんなことしたら・・あうぅぅ・・変になる・・」
我慢しているつもりです。でも体が言うことを聞かないのです。
腰が勝手に浮き上がり、陰部は智彦の指を欲して動いてしまいます。
「い、淫乱女め!」
淫らな母親の痴態に、智彦の怒りは頂点に達したのでしょう。
顔を真っ赤に上気させると、着ていた服を脱ぎ始めました。
涙が滲んできました。
智彦の華奢な白い体かぼんやりと虚ろな瞳に映っています。
腰のあたりには、母の体に興奮した赤黒い屹立が見えます。
智彦は仰向けで大の字に磔された私の上に覆い被さってきました。
「お前なんか母親じゃない。ただの女だ」
智彦の男性が陰部に触れました。
「ダ、ダメ! それ以上したら、もうママに戻れなくなっちゃう!」
朦朧とする意識の中、私は最後の理性を振り絞って抗いました。
智彦は迷っているようでした。男性を陰部に押し当てたまま動きが止まりました。
ところが。
ヌルッ――それは一瞬のことでした。
智彦が男性を押し出したのか、それとも私の淫らな陰部が息子をくわえ込みに行ったのか、
母子の性器はついに禁断の交わりを果たしてしまったのです。
「いやあああ!」
私は叫び声をあげました。
智彦も呆然と全身を凍りつかせています。
人間であることから逸脱してしまった母子は、どのぐらいの時間でしょうか、
繋がり合ったままお互いにしばらく動けずにいました。
人であることを辞めれば、後に残るのは獣であることだけです。
智彦がわずかに腰を引きました。
「あっ」
ビリッと悦楽の電流が全身に流れ、つま先が感電して反り返ります。
智彦も私も獣となり果てた今、することは一つしかないことを知ったのです。
激しく智彦が男性を突き始めました。
「と、智彦・・ああ・・」
激しい劣情を受け入れながら、私も次第に体が高まっていきます。
智彦の汗がポタリポタリと波打つ乳房に滴り落ちます。
「はあぁぁ・・き、気持ちいい・・智彦、ママ、気持ち言いの・・」
腕立て伏せの格好をしていた智彦は、私の首をぐっと腕で巻くと、体を密着させてきました。
智彦の荒い息遣いが耳元でします。
何年振りでしょうか、息子をこれほど身近に感じるのは。
私は無意識のうちに、その躍動する腰に両手を回していました。
息子に犯されて身悶える愚かな母親。
過ちであることはわかっていますが、
失った息子が戻ってきてくれた喜びを感じていたのも事実です。
きっと智彦も私を犯すことで、どこかで私を繋ぎ止めておきたい心理があるに違いありません。
智彦の動きがぎこちなくなってきました。
「も、もう・・」
「あっ、あっ・・いい・・智彦・・いく、いっちゃう・・いくうぅぅ」
陰部から男性を引き抜く感触。
そして下腹部に生温かい飛沫を感じました。
息子が母親の下腹部に射精したのです。
智彦の女。
その言葉が脳裏を過ぎりました。
沸き上がる悦楽の波が、私の意識を朦朧とさせていくのでした。
つづく・・・