『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(八)
『人外境の花嫁』
FC2 Blog Ranking
七.迷宮の案内者 (八)
鎌倉時代の初めに、大友能直が古文書を基に編纂したと言われる『上記』は、豊国文字と呼ばれる神代文字で書かれていたとされている。
その原書は残されていないが、江戸から明治時代にかけて写本が発見され、その真偽については今も定かではない。
記載されるのは、古代王朝の系譜の他、暦学や医学、風土記等の博物誌的な内容となっている。
しかし正統とされる古事記や日本書紀とは、その内容を異にする部分がかなり含まれている。
例えば『上記』は、古事記と同様に国生みの話から始まるが、日本のみならず、ロシアや琉球など当時海外の領土まで生んでいる。
また皇統についても、『記紀』では、天孫降臨したニニギノミコト→山幸彦として有名なホホデミ→ウガヤフキアエズ→神武天皇と連なって行くが、『上記』ではウガヤフキアエズ以降、七十二代に亘るウガヤ王朝が存在したとされる。
畠山がやっとのことで口を挟んだ。
「最近論争となった『東日流外三郡誌』も、結局偽書だったと考えられていますしね」
「そうだね、鎌倉時代以前、青森の十三湊に欧州人や中東人の貿易拠点があったなんて、真贋論争するレベルの話ではないよ」
キリストが青森県の戸来村で死んだとする『竹内文書』同様、この『上記』も荒唐無稽な偽書として歴史の表舞台から黙殺されてきたと降矢木は語った。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
にほんブログ村
人気ブログランキング~愛と性~
紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
FC2 Blog Ranking
七.迷宮の案内者 (八)
鎌倉時代の初めに、大友能直が古文書を基に編纂したと言われる『上記』は、豊国文字と呼ばれる神代文字で書かれていたとされている。
その原書は残されていないが、江戸から明治時代にかけて写本が発見され、その真偽については今も定かではない。
記載されるのは、古代王朝の系譜の他、暦学や医学、風土記等の博物誌的な内容となっている。
しかし正統とされる古事記や日本書紀とは、その内容を異にする部分がかなり含まれている。
例えば『上記』は、古事記と同様に国生みの話から始まるが、日本のみならず、ロシアや琉球など当時海外の領土まで生んでいる。
また皇統についても、『記紀』では、天孫降臨したニニギノミコト→山幸彦として有名なホホデミ→ウガヤフキアエズ→神武天皇と連なって行くが、『上記』ではウガヤフキアエズ以降、七十二代に亘るウガヤ王朝が存在したとされる。
畠山がやっとのことで口を挟んだ。
「最近論争となった『東日流外三郡誌』も、結局偽書だったと考えられていますしね」
「そうだね、鎌倉時代以前、青森の十三湊に欧州人や中東人の貿易拠点があったなんて、真贋論争するレベルの話ではないよ」
キリストが青森県の戸来村で死んだとする『竹内文書』同様、この『上記』も荒唐無稽な偽書として歴史の表舞台から黙殺されてきたと降矢木は語った。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
にほんブログ村
人気ブログランキング~愛と性~
紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。