『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(一)
『人外境の花嫁』
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七.迷宮の案内者 (一)
そこは淫靡な密室だった。
仄暗い闇の中、ピンクのスポットが艶めかしくステージを照らしている。
肌が透ける薄いベビードールを着た踊り子が、ムーディーな曲に合わせて全身をくねらせる。
豊かな乳房が柔らかに波打ち、小ぶりなヒップがぷるぷるとゼリーのように震えている。
横浜の黄金町にあるストリップ劇場。
かぶりつきの男が、食い入るように踊り子の体を見つめている。
「雛子ちゃん、早くご開帳してよ」
降矢木士朗である。
「あら、先生。今日も来てくれたの。ちょっと相談事があるから、後で楽屋へ遊びに来てくれない?」
「わかった、わかった。それはいいから早く大事なところを見せなさい」
「もう、先生のスケベ」
はにかんだ笑みを浮かべながら踊り子は、降矢木の眼前で、内腿に深紅の薔薇の刺青を施した両脚を大きく開いた。
「おう、今日も見事な弁天様だ」
「もう、厭な先生ねえ・・」
劇場の入り口で、そんなステージでのやり取りを見た吉水月絵は、目を吊り上げてわなわなと体を震わせた。
(どうして私はこんな男を・・)
踊り子の陰部をかぶりつきで覗き込む降矢木に、月絵は抑え切れない殺意を覚えた。
月絵は降矢木を捜してここへ来た。
仕事をさぼっている降矢木を捜すのは簡単だった。
「この時間なら、先生は黄金劇場で向井雛子のステージを観ているぜ」
歓楽街で知らぬ者がいない変人降矢木の行動は、たいがい風俗店の呼び込み連中が目撃している。
月絵は降矢木の背後に音もなく近づくと、思いっきりその後頭部を拳骨で叩いた。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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そこは淫靡な密室だった。
仄暗い闇の中、ピンクのスポットが艶めかしくステージを照らしている。
肌が透ける薄いベビードールを着た踊り子が、ムーディーな曲に合わせて全身をくねらせる。
豊かな乳房が柔らかに波打ち、小ぶりなヒップがぷるぷるとゼリーのように震えている。
横浜の黄金町にあるストリップ劇場。
かぶりつきの男が、食い入るように踊り子の体を見つめている。
「雛子ちゃん、早くご開帳してよ」
降矢木士朗である。
「あら、先生。今日も来てくれたの。ちょっと相談事があるから、後で楽屋へ遊びに来てくれない?」
「わかった、わかった。それはいいから早く大事なところを見せなさい」
「もう、先生のスケベ」
はにかんだ笑みを浮かべながら踊り子は、降矢木の眼前で、内腿に深紅の薔薇の刺青を施した両脚を大きく開いた。
「おう、今日も見事な弁天様だ」
「もう、厭な先生ねえ・・」
劇場の入り口で、そんなステージでのやり取りを見た吉水月絵は、目を吊り上げてわなわなと体を震わせた。
(どうして私はこんな男を・・)
踊り子の陰部をかぶりつきで覗き込む降矢木に、月絵は抑え切れない殺意を覚えた。
月絵は降矢木を捜してここへ来た。
仕事をさぼっている降矢木を捜すのは簡単だった。
「この時間なら、先生は黄金劇場で向井雛子のステージを観ているぜ」
歓楽街で知らぬ者がいない変人降矢木の行動は、たいがい風俗店の呼び込み連中が目撃している。
月絵は降矢木の背後に音もなく近づくと、思いっきりその後頭部を拳骨で叩いた。
つづく…
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