『人外境の花嫁』七.迷宮の案内者(二)
『人外境の花嫁』
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七.迷宮の案内者 (二)
降矢木はぎゃっと悲鳴を上げた。
「失礼しました」
月絵は驚く踊り子に微笑を向けると、シャツの襟首をつかんで降矢木をステージから引き剥がした。
「先生っ!」
「あ、ああ・・月絵君・・?」
「もうっ、呑気にストリップなんか観ている場合ですかっ! 今すぐ店に戻って下さい」
月絵の怒気に青ざめた降矢木は、旦那のご機嫌を伺う幇間のような猫撫で声で尋ねた。
「み、店に強盗でも入ったのかな?」
「違います。先生がお気に入りの麻美さんが行方不明なんです」
「何っ、藤野さんが?」
麻美が勤めるソープランドの雇い主、秋月俊二が店へやって来て月絵に伝えたのだ。
ただ事ではないと直感したのか、降矢木は雛子の股間に合掌すると、慌てて月絵とストリップ劇場を後にした。
降矢木ファーマシーでは、秋月が渋い表情で煙草を吹かしていた。
「藤野さんが行方不明なんですって?」
「ああ、三日間も無断欠勤したので、麻美のマンションへ行ってみたんだが・・」
秋月が麻美の部屋を訪れると、鍵はかかっておらず、玄関先は争ったかのように靴が散乱していた。
むろん麻美の姿はどこにもない。
ダイニングにはつくりかけのサラダが置かれていて、数日放置されたためかカラカラに干乾びていた。
降矢木は腕組みした。
「ふうん、日常生活を残したまま姿を消したのであれば、失踪ではなく、何者かに連れさらわれたと考えるべきですね」
そう呟く降矢木の横顔を、月絵は不安そうな表情で見つめた。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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「失礼しました」
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「先生っ!」
「あ、ああ・・月絵君・・?」
「もうっ、呑気にストリップなんか観ている場合ですかっ! 今すぐ店に戻って下さい」
月絵の怒気に青ざめた降矢木は、旦那のご機嫌を伺う幇間のような猫撫で声で尋ねた。
「み、店に強盗でも入ったのかな?」
「違います。先生がお気に入りの麻美さんが行方不明なんです」
「何っ、藤野さんが?」
麻美が勤めるソープランドの雇い主、秋月俊二が店へやって来て月絵に伝えたのだ。
ただ事ではないと直感したのか、降矢木は雛子の股間に合掌すると、慌てて月絵とストリップ劇場を後にした。
降矢木ファーマシーでは、秋月が渋い表情で煙草を吹かしていた。
「藤野さんが行方不明なんですって?」
「ああ、三日間も無断欠勤したので、麻美のマンションへ行ってみたんだが・・」
秋月が麻美の部屋を訪れると、鍵はかかっておらず、玄関先は争ったかのように靴が散乱していた。
むろん麻美の姿はどこにもない。
ダイニングにはつくりかけのサラダが置かれていて、数日放置されたためかカラカラに干乾びていた。
降矢木は腕組みした。
「ふうん、日常生活を残したまま姿を消したのであれば、失踪ではなく、何者かに連れさらわれたと考えるべきですね」
そう呟く降矢木の横顔を、月絵は不安そうな表情で見つめた。
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