『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者 (十二)
『人外境の花嫁』
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五.秘苑の懊悩者 (十二)
金治は腕組みした。
「喧嘩だとしたら、公園で寝ている浮浪者が気づかないわけない」
「それに親父、その不良連中は、どうやら公園でホームレス狩りをしていたらしい」
弱い者虐めをしやがってと、憲治は舌をチッと鳴らした。
いつの頃から始まったのか、中高生によるホームレス襲撃は依然として止まない。
つい先頃も、CHU学生が耳の不自由なホームレスに熱湯をかけて大やけどさせた。
悪戯ならまだしも、暴行、そして殺人。
まるでゲームでも楽しむかのように、中高生によるホームレス虐待は続いている。
ぽつりと金治は呟いた。
「差し詰め・・浮浪者に悪さをするガキ共を懲らしめる水戸黄門か・・」
「ああ、それならホームレスの連中が、助けてくれた野郎を警察に売るわけがない」
なるほどと憲治は手を打った。
事件は横浜だけではない。
このところ、不良学生が襲撃される事件が全国で起きている。
そのいずれも公園やガード下、地下道など、ホームレスが寝起きする場所で発生していた。
月絵が口を挟んだ。
「それなら水戸黄門が全国を漫遊して懲らしめているの?」
「いや、北は札幌から南は鹿児島までだ。とても一人でできる仕業じゃない」
憲治の言葉を金治が継いだ。
「おそらく全国的な組織が、何らかの目的で浮浪者を虐待する連中に、天誅を下していることになるな」
そう言うと、金治は腕組みしたまま、じっとライトアップされた日本庭園を見つめた。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
人気ブログランキング~愛と性~
紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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金治は腕組みした。
「喧嘩だとしたら、公園で寝ている浮浪者が気づかないわけない」
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弱い者虐めをしやがってと、憲治は舌をチッと鳴らした。
いつの頃から始まったのか、中高生によるホームレス襲撃は依然として止まない。
つい先頃も、CHU学生が耳の不自由なホームレスに熱湯をかけて大やけどさせた。
悪戯ならまだしも、暴行、そして殺人。
まるでゲームでも楽しむかのように、中高生によるホームレス虐待は続いている。
ぽつりと金治は呟いた。
「差し詰め・・浮浪者に悪さをするガキ共を懲らしめる水戸黄門か・・」
「ああ、それならホームレスの連中が、助けてくれた野郎を警察に売るわけがない」
なるほどと憲治は手を打った。
事件は横浜だけではない。
このところ、不良学生が襲撃される事件が全国で起きている。
そのいずれも公園やガード下、地下道など、ホームレスが寝起きする場所で発生していた。
月絵が口を挟んだ。
「それなら水戸黄門が全国を漫遊して懲らしめているの?」
「いや、北は札幌から南は鹿児島までだ。とても一人でできる仕業じゃない」
憲治の言葉を金治が継いだ。
「おそらく全国的な組織が、何らかの目的で浮浪者を虐待する連中に、天誅を下していることになるな」
そう言うと、金治は腕組みしたまま、じっとライトアップされた日本庭園を見つめた。
つづく…
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