『人外境の花嫁』五.秘苑の懊悩者 (十三)
『人外境の花嫁』
FC2 Blog Ranking
五.秘苑の懊悩者 (十三)
月絵があっと声を上げた。
「秘密結社じゃないの・・フリーメイソンとかKKKとか・・黄金の夜明け団かも?」
日頃降矢木の傍にいる月絵は、自然と怪しい人外の知識が頭に入ってしまっていた。
今日も降矢木は、十八世紀のイギリスに実在した『地獄の火クラブ』について畠山に語っていた。
フランシス・ダッシュウッド卿が主宰するこの結社は、廃墟の修道院を改築して、悪魔崇拝の儀式を行っていた。
儀式と言っても黒ミサを真似た乱交パーティーであり、金と暇を持ち合わせた男と女が、夜な夜な性的淫蕩に酔い痴れたと言われている。
憲治は首をひねった。
「しかしホームレスを助けても、一円の利益にもならないんだぞ。警察に捕まる危険も顧みず、そんな慈善事業をする人間などいるもんか」
そこで金治が再び口を開いた。
「慈善事業か・・そう言えば最近、大通り公園で浮浪者に炊き出しをしているな」
「ああ、それは天神会だよ、親父」
「天神会?」
「アーメンか南無阿弥陀仏かわからないが、ホームレスの面倒を看ている宗教団体だ。
何でも弱者に施しをすれば、その徳が神に認められて天国へ行けるらしい。
まあ、新興宗教の宣伝活動だと思うけどな。最近勢力を伸ばして全国に信者がいるって話だ」
憲治がそう答えると、金治は再び腕組みして考え込んだ。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
人気ブログランキング~愛と性~
紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
FC2 Blog Ranking
五.秘苑の懊悩者 (十三)
月絵があっと声を上げた。
「秘密結社じゃないの・・フリーメイソンとかKKKとか・・黄金の夜明け団かも?」
日頃降矢木の傍にいる月絵は、自然と怪しい人外の知識が頭に入ってしまっていた。
今日も降矢木は、十八世紀のイギリスに実在した『地獄の火クラブ』について畠山に語っていた。
フランシス・ダッシュウッド卿が主宰するこの結社は、廃墟の修道院を改築して、悪魔崇拝の儀式を行っていた。
儀式と言っても黒ミサを真似た乱交パーティーであり、金と暇を持ち合わせた男と女が、夜な夜な性的淫蕩に酔い痴れたと言われている。
憲治は首をひねった。
「しかしホームレスを助けても、一円の利益にもならないんだぞ。警察に捕まる危険も顧みず、そんな慈善事業をする人間などいるもんか」
そこで金治が再び口を開いた。
「慈善事業か・・そう言えば最近、大通り公園で浮浪者に炊き出しをしているな」
「ああ、それは天神会だよ、親父」
「天神会?」
「アーメンか南無阿弥陀仏かわからないが、ホームレスの面倒を看ている宗教団体だ。
何でも弱者に施しをすれば、その徳が神に認められて天国へ行けるらしい。
まあ、新興宗教の宣伝活動だと思うけどな。最近勢力を伸ばして全国に信者がいるって話だ」
憲治がそう答えると、金治は再び腕組みして考え込んだ。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
人気ブログランキング~愛と性~
紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。