『人外境の花嫁』三.青楼街の偏執狂 (十九)
『人外境の花嫁』
FC2 Blog Ranking
三.青楼街の偏執狂 (十九)
貧血だった。
慌てて月絵が駆け寄った。
「もう、先生ったら、エッチなことを考えると頭がおかしくなっちゃうんだから」
降矢木の背中を支えながら、月絵は静かにソファへ横たえた。
性は人間行動の原点である。
望めば大学教授にもなれる降矢木だが、男と女が紡ぐ性の深淵は、これほどまでに博覧強記の天才を魅惑して止まないのだろう。
月絵は青白い降矢木の顔を見つめた。
(・・先生)
そして秋月と畠山にわからないように、背中の肉をぎゅっとつねった。
USファーマシーには、毎日大勢の風俗嬢が顔を出す。むろん降矢木が通って知り合った女達もいる。
経営者の秋月のみならず、彼女達もちょくちょく降矢木へ相談事を持ちかける。
中には露骨に、降矢木の愛人になりたいとせがむ女もいる。
美男でもないのに悔しいほどもてるのだ。
痩せっぽちで頼りない遊び人だが、月絵もどこか降矢木を憎めなかった。
(憎めないだけ・・?)
そこまで自問して、月絵は慌てて首を左右に振った。
乱交などとんでもない変態行為である。
まだ性を知らぬ月絵だが、女は一人の男しか愛せない生き物だと信じている。
頭でっかちの降矢木は切ない女心を知らないのだ。
ぼんやりしている降矢木を諌めようとした時、不意に薬局の自動ドアが開いた。
「こんにちは、先生いるぅ?」
見ると、大きく肩と胸元を露出したワンピース姿の女が立っていた。
つづく…
皆様から頂く
が小説を書く原動力です

人気ブログランキング~愛と性~
紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
FC2 Blog Ranking
三.青楼街の偏執狂 (十九)
貧血だった。
慌てて月絵が駆け寄った。
「もう、先生ったら、エッチなことを考えると頭がおかしくなっちゃうんだから」
降矢木の背中を支えながら、月絵は静かにソファへ横たえた。
性は人間行動の原点である。
望めば大学教授にもなれる降矢木だが、男と女が紡ぐ性の深淵は、これほどまでに博覧強記の天才を魅惑して止まないのだろう。
月絵は青白い降矢木の顔を見つめた。
(・・先生)
そして秋月と畠山にわからないように、背中の肉をぎゅっとつねった。
USファーマシーには、毎日大勢の風俗嬢が顔を出す。むろん降矢木が通って知り合った女達もいる。
経営者の秋月のみならず、彼女達もちょくちょく降矢木へ相談事を持ちかける。
中には露骨に、降矢木の愛人になりたいとせがむ女もいる。
美男でもないのに悔しいほどもてるのだ。
痩せっぽちで頼りない遊び人だが、月絵もどこか降矢木を憎めなかった。
(憎めないだけ・・?)
そこまで自問して、月絵は慌てて首を左右に振った。
乱交などとんでもない変態行為である。
まだ性を知らぬ月絵だが、女は一人の男しか愛せない生き物だと信じている。
頭でっかちの降矢木は切ない女心を知らないのだ。
ぼんやりしている降矢木を諌めようとした時、不意に薬局の自動ドアが開いた。
「こんにちは、先生いるぅ?」
見ると、大きく肩と胸元を露出したワンピース姿の女が立っていた。
つづく…






人気ブログランキング~愛と性~
紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。