『人外境の花嫁』三.青楼街の偏執狂(二)
『人外境の花嫁』
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三.青楼街の偏執狂(二)
平成二十二年、夏。
大岡川岸の柳もそよがない炎天下の午後、福富町の風俗店通りは人影も疎らで、派手な電飾だけが虚しく明滅していた。
その通りの中央あたり、ソープランドの建物とピンサロが入る雑居ビルに挟まれて、ぽつんと小さな平屋の薬局が建っている。
降矢木ファーマシー。
建坪僅か三十坪ほどしかない昔ながらの街の薬局である。
子象のマスコットが脇に置かれた自動ドアを開けると、小奇麗に衛生品が飾られた陳列棚が三列並び、正面レジのカウンター奥には風邪薬などの医薬品が配置されている。
男が入って来た。
「今日は」
「いらっしゃいませ・・あら?」
まだ三十歳そこそこだが、メタボ気味に腹の出た男は、シャツを汗でびっしょりと濡らしていた。
「畠山さん」
「月絵ちゃん、今日も綺麗だね」
「もうっ、いくら褒めてもお茶しか出ませんからね」
ぷんと頬を膨らませながらも、月絵はちょっと口許に笑みを浮かべて顔を赤らめた。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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その通りの中央あたり、ソープランドの建物とピンサロが入る雑居ビルに挟まれて、ぽつんと小さな平屋の薬局が建っている。
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建坪僅か三十坪ほどしかない昔ながらの街の薬局である。
子象のマスコットが脇に置かれた自動ドアを開けると、小奇麗に衛生品が飾られた陳列棚が三列並び、正面レジのカウンター奥には風邪薬などの医薬品が配置されている。
男が入って来た。
「今日は」
「いらっしゃいませ・・あら?」
まだ三十歳そこそこだが、メタボ気味に腹の出た男は、シャツを汗でびっしょりと濡らしていた。
「畠山さん」
「月絵ちゃん、今日も綺麗だね」
「もうっ、いくら褒めてもお茶しか出ませんからね」
ぷんと頬を膨らませながらも、月絵はちょっと口許に笑みを浮かべて顔を赤らめた。
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