『人外境の花嫁』二.真夜中の凌辱者(十五)
『人外境の花嫁』
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二.真夜中の凌辱者(十五)
大都会の真ん中にぽっかりと空いた闇。
そこには近代国家と思えぬ異質な結界が張られていた。
世間から見捨てられた世界。
だが人々が目を逸らす異界にも、生々しい人間の営みがある。
子猿は彼等の精液に塗れていく女を映しながら、再び天を衝く己の凶刀を強くしごいていた。
ふと背後に人が立った。
「相変わらずだな、子猿」
振り返ると、銅燈籠の蔭にどこから現れたのか男が立っていた。
「あ、兄貴、いつ東京へ?」
子猿は吃驚してカメラを置いた。
「今朝、本部を出てきた。お前に伝えなければならないことがあってな」
黒のスーツで固めた兄貴と呼ばれる男は、懐から小さな紙切れを取り出した。
「こ、これは・・」
渡された紙切れには、不思議な絵文字が描かれていた。
「アヤタチ様からの指令だ」
兄貴の言葉に、子猿の紙切れを持つ手が震えた。
「ア、アヤタチ様が・・御自ら?」
「そうだ、組織の命運を賭けた指令を、アヤタチ様が自らお前に下されたのだ」
「光栄だ。アヤタチ様のためなら、この命を捧げても悔いはない」
武者震いした子猿は、紙切れを大切に押し戴くと、慌てて盗撮機材をリュックにしまい始めた。
まだ女の喘ぎ声が響き渡る上野公園。
子猿は身を翻すと、人とは思えぬ素早さでネオンの残る街へ紛れて行った。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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子猿は彼等の精液に塗れていく女を映しながら、再び天を衝く己の凶刀を強くしごいていた。
ふと背後に人が立った。
「相変わらずだな、子猿」
振り返ると、銅燈籠の蔭にどこから現れたのか男が立っていた。
「あ、兄貴、いつ東京へ?」
子猿は吃驚してカメラを置いた。
「今朝、本部を出てきた。お前に伝えなければならないことがあってな」
黒のスーツで固めた兄貴と呼ばれる男は、懐から小さな紙切れを取り出した。
「こ、これは・・」
渡された紙切れには、不思議な絵文字が描かれていた。
「アヤタチ様からの指令だ」
兄貴の言葉に、子猿の紙切れを持つ手が震えた。
「ア、アヤタチ様が・・御自ら?」
「そうだ、組織の命運を賭けた指令を、アヤタチ様が自らお前に下されたのだ」
「光栄だ。アヤタチ様のためなら、この命を捧げても悔いはない」
武者震いした子猿は、紙切れを大切に押し戴くと、慌てて盗撮機材をリュックにしまい始めた。
まだ女の喘ぎ声が響き渡る上野公園。
子猿は身を翻すと、人とは思えぬ素早さでネオンの残る街へ紛れて行った。
つづく…
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