『人外境の花嫁』二.真夜中の凌辱者(七)
『人外境の花嫁』
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二.真夜中の凌辱者(七)
終電の時刻も過ぎた深夜、すっかり歓楽街の喧騒は収まり、都会は早朝まで束の間の眠りにつこうとしていた。
上野公園の奥に建つ東照宮。
巨大な銅燈籠が並ぶ仄暗い参道は静寂に包まれ、隣接する動物園から不気味な動物の鳴き声が時折聞こえてくる。
子猿は銅燈籠に腰掛けて、ワンカップの日本酒をチビチビ舐めていた。
遠くから人の気配がする。
「わ、私をどうするつもりなの?」
「いいからついて来い」
上野駅へ向かった影の男が女を連れて戻って来た。
影の男はカメラを子猿に返すと、再び闇に紛れて何処かへ消えてしまった。
都会の明るい夜空に、寛永寺五重塔の漆黒の影が高くそびえている。
仄暗い闇の中、子猿と女は無言のまま対峙した。
女の両脚が微かに震えている。
三十路前半ぐらいだろうか、会社でお局様と呼ばれていそうな年恰好である。
結婚指輪はしていない。
だが上司の部長を夢中にさせるむっちりとした肉づきが、熟し切った果実のように、甘ったるいフェロモンを放散していた。
女は子猿を問い質した。
「あなたは誰ですか? ど、どうしてあんなビデオを撮っていたんですか?」
「・・・・」
「どういうつもりなのよ。隠れてあんなところを撮るなんて卑怯でじゃない!」
警察に訴えるとわめく女を無視して、子猿はビデオの画像を再生し始めた。
「クックッ・・この動画をね、さっきの部長さんの家に郵送しようと思ってね」
「ど、どうして・・」
「それからあなたの家にもね。もちろん会社の皆さんにもメール配信するつもりだよ」
「やめて!」
「ほら、望遠でくっきりと顔が撮れているだろう」
子猿はニヤリと笑みを浮かべると、ファインダーに映った女の顔をペロリと舐めた。
つづく…
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紅殻格子の日記は「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に記載しています。
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巨大な銅燈籠が並ぶ仄暗い参道は静寂に包まれ、隣接する動物園から不気味な動物の鳴き声が時折聞こえてくる。
子猿は銅燈籠に腰掛けて、ワンカップの日本酒をチビチビ舐めていた。
遠くから人の気配がする。
「わ、私をどうするつもりなの?」
「いいからついて来い」
上野駅へ向かった影の男が女を連れて戻って来た。
影の男はカメラを子猿に返すと、再び闇に紛れて何処かへ消えてしまった。
都会の明るい夜空に、寛永寺五重塔の漆黒の影が高くそびえている。
仄暗い闇の中、子猿と女は無言のまま対峙した。
女の両脚が微かに震えている。
三十路前半ぐらいだろうか、会社でお局様と呼ばれていそうな年恰好である。
結婚指輪はしていない。
だが上司の部長を夢中にさせるむっちりとした肉づきが、熟し切った果実のように、甘ったるいフェロモンを放散していた。
女は子猿を問い質した。
「あなたは誰ですか? ど、どうしてあんなビデオを撮っていたんですか?」
「・・・・」
「どういうつもりなのよ。隠れてあんなところを撮るなんて卑怯でじゃない!」
警察に訴えるとわめく女を無視して、子猿はビデオの画像を再生し始めた。
「クックッ・・この動画をね、さっきの部長さんの家に郵送しようと思ってね」
「ど、どうして・・」
「それからあなたの家にもね。もちろん会社の皆さんにもメール配信するつもりだよ」
「やめて!」
「ほら、望遠でくっきりと顔が撮れているだろう」
子猿はニヤリと笑みを浮かべると、ファインダーに映った女の顔をペロリと舐めた。
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