『合 わ せ 鏡』 第五章
『合 わ せ 鏡』
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(五)
男のものをくわえるのは好きだった。
スポンジのように軟らかい先端を、脈打つ血管が絡みつく網の柄―おぞましい異生き物のようなソレを口にする時、何故か早紀は、背筋がゾクゾクする興奮を覚えた。
「さ、早紀…もう、いきそうだよ」
まだ数分しか経っていないのに、智彦は眉間に皺を寄せて射精を堪えている。
(うふ、この表情が好きなの)
早紀は口唇と手に力をこめ、いっそう夫の肉茎を嬲った。
「も、もう…」
早紀が肉茎を口から離すと同時に、智彦は内腿をひくひくと麻痺させて射精した。
生温かい白濁液が勢いよく乳房に飛び散った。
「ごめん」
まだぼんやりとした目の智彦は、シャワーを手にして先の乳房に滴る精液を洗い流し始めた。
「ううん、智くんのをかけてもらって嬉しいわ。二回目はベッドでね」
早紀は甘えるように智彦に抱きついた。
下腹部にあたる智彦の肉茎は、再び少しずつ硬直を取り戻していく。
早漏気味の智彦は、早紀が絶頂を登りつめる前に果ててしまうことが多かった。
そこでプライドを傷つけず持続力を補うため、最近は事前に一回射精させるようにしていた。
(好きで初心な男を選んだから、このぐらいの我慢は仕方ないか)
早紀は心中でそう呟いた。
智彦との結婚生活は幸せだった。
自分の性格にこれ以上釣り合う男はいないと感謝している。
だが百パーセントの満足はありえない。
それを妥協するのが夫婦かもしれない。
理屈はわかっているつもりだが、体が熟すれば熟するほど、早紀はもやもやした物足りなさを強く意識してしまうのだった。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に戻る
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男のものをくわえるのは好きだった。
スポンジのように軟らかい先端を、脈打つ血管が絡みつく網の柄―おぞましい異生き物のようなソレを口にする時、何故か早紀は、背筋がゾクゾクする興奮を覚えた。
「さ、早紀…もう、いきそうだよ」
まだ数分しか経っていないのに、智彦は眉間に皺を寄せて射精を堪えている。
(うふ、この表情が好きなの)
早紀は口唇と手に力をこめ、いっそう夫の肉茎を嬲った。
「も、もう…」
早紀が肉茎を口から離すと同時に、智彦は内腿をひくひくと麻痺させて射精した。
生温かい白濁液が勢いよく乳房に飛び散った。
「ごめん」
まだぼんやりとした目の智彦は、シャワーを手にして先の乳房に滴る精液を洗い流し始めた。
「ううん、智くんのをかけてもらって嬉しいわ。二回目はベッドでね」
早紀は甘えるように智彦に抱きついた。
下腹部にあたる智彦の肉茎は、再び少しずつ硬直を取り戻していく。
早漏気味の智彦は、早紀が絶頂を登りつめる前に果ててしまうことが多かった。
そこでプライドを傷つけず持続力を補うため、最近は事前に一回射精させるようにしていた。
(好きで初心な男を選んだから、このぐらいの我慢は仕方ないか)
早紀は心中でそう呟いた。
智彦との結婚生活は幸せだった。
自分の性格にこれ以上釣り合う男はいないと感謝している。
だが百パーセントの満足はありえない。
それを妥協するのが夫婦かもしれない。
理屈はわかっているつもりだが、体が熟すれば熟するほど、早紀はもやもやした物足りなさを強く意識してしまうのだった。
つづく…
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