『再びの夏』 第十七章
『再びの夏』(十七)
FC2 R18官能小説
(十七)
昨年、邦彦が両親の勤めで結婚した。
相手は資産家の令嬢で、プロの声楽家だという。
レッスンや公演で多忙な妻に、邦彦はすれ違い夫婦だと電話でこぼした。
そして邦彦は、東京に支店を開設したので、出張ベースで行くから会いたいと切望した。
会いたいのは由紀子も同じだった。
邦彦が結婚したという安堵から、頑なに再会を拒んでいた由紀子も、心の奥の埋み火が再び赤々と熾るのを感じた。
邦彦が常宿する部屋は、少し広めなデラックス・シングルだった。
由紀子はベッドの縁に腰かけた。
「由紀子は全然変わらないね」
「もう三十七歳よ。ほんとのオバサンになっちゃったわ。邦彦は二十六歳になるのね。結婚して、ちょっとは大人になったかしら?」
「結婚しても変わらないよ。気持ちはあの夏の日のままだ」
邦彦は由紀子の隣に座ると、肩を抱いて口唇を重ねてきた。
不意に涙が由紀子の頬を伝った。
四年間の空白を取り戻すように、二人は激しく体を擦り合わせた。
「もう奥さんがいるのに…こんなことしたら…」
「由紀子だってご主人がいるのに、散々僕の体を弄んだじゃないか」
「嫌、弄んだなんて…」
邦彦は由紀子の服を脱がし始めた。
「ねえ、シャワーを浴びたい」
「だめ、久しぶりだから、由紀子の匂いを嗅ぎたいんだ」
「んもう、いつから変態になったの?」
「四年間もお預けさせられていたら、男は皆変態になるよ」
下着を残して裸にされた由紀子は、ベッドの上に横たえられた。
邦彦は由紀子の裸身を見つめた。
「いや、そんなに見つめないで」
「ウエストから太腿にかけて、以前よりむっちりしたんじゃない?」
「…言わないで。確かにちょっと太ったかも…嫌いになった?」
「今のほうがずっといい」
邦彦は口唇を重ねると、軽く由紀子のお尻を撫でた。
由紀子は、社会人になって家庭を持った邦彦が、昔と変わったことに気がついた。
容姿だけでなく、立ち振る舞いや仕草まで、甘えん坊だった邦彦が、大人びて男らしくなっていた。
つづく…
皆様から頂くが小説を書く原動力です
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昨年、邦彦が両親の勤めで結婚した。
相手は資産家の令嬢で、プロの声楽家だという。
レッスンや公演で多忙な妻に、邦彦はすれ違い夫婦だと電話でこぼした。
そして邦彦は、東京に支店を開設したので、出張ベースで行くから会いたいと切望した。
会いたいのは由紀子も同じだった。
邦彦が結婚したという安堵から、頑なに再会を拒んでいた由紀子も、心の奥の埋み火が再び赤々と熾るのを感じた。
邦彦が常宿する部屋は、少し広めなデラックス・シングルだった。
由紀子はベッドの縁に腰かけた。
「由紀子は全然変わらないね」
「もう三十七歳よ。ほんとのオバサンになっちゃったわ。邦彦は二十六歳になるのね。結婚して、ちょっとは大人になったかしら?」
「結婚しても変わらないよ。気持ちはあの夏の日のままだ」
邦彦は由紀子の隣に座ると、肩を抱いて口唇を重ねてきた。
不意に涙が由紀子の頬を伝った。
四年間の空白を取り戻すように、二人は激しく体を擦り合わせた。
「もう奥さんがいるのに…こんなことしたら…」
「由紀子だってご主人がいるのに、散々僕の体を弄んだじゃないか」
「嫌、弄んだなんて…」
邦彦は由紀子の服を脱がし始めた。
「ねえ、シャワーを浴びたい」
「だめ、久しぶりだから、由紀子の匂いを嗅ぎたいんだ」
「んもう、いつから変態になったの?」
「四年間もお預けさせられていたら、男は皆変態になるよ」
下着を残して裸にされた由紀子は、ベッドの上に横たえられた。
邦彦は由紀子の裸身を見つめた。
「いや、そんなに見つめないで」
「ウエストから太腿にかけて、以前よりむっちりしたんじゃない?」
「…言わないで。確かにちょっと太ったかも…嫌いになった?」
「今のほうがずっといい」
邦彦は口唇を重ねると、軽く由紀子のお尻を撫でた。
由紀子は、社会人になって家庭を持った邦彦が、昔と変わったことに気がついた。
容姿だけでなく、立ち振る舞いや仕草まで、甘えん坊だった邦彦が、大人びて男らしくなっていた。
つづく…
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