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『再びの夏』 第十六章

『再びの夏』(十六)
FC2 R18官能小説

(十六)

昭和六十年、冬。
灰色の空から牡丹雪がちらちらと舞う寒い朝だった。

郁夫を会社に、英夫を小学校に送り出した由紀子は、精一杯のおしゃれをして、都心にあるホテルのロビーにいた。

スーツ姿の若い男が現れた。

「お久しぶりです」

邦彦だった。

「まあ、立派になったわね」

すっかり社会人らしくなった邦彦を見つめて、由紀子はじんと胸が熱くなった。
初めて由紀子が体を許した夏の日から、邦彦が大学を卒業するまで、二人の密かな情愛は続いた。

郁夫や英夫の目を盗み、由紀子は毎日のように邦彦の部屋を訪れた。
そして時間の許す限り、獣の雌さながらに、若い邦彦の体をむさぼった。

妻であることを忘れ、由紀子は邦彦の逞しい肉茎に狂喜した。
だが邦彦は大学を卒業すると、家業の食料品卸会社を継ぐため、実家へ戻らなければならなかった。

邦彦は帰りたくないと由紀子にすがった。
由紀子も手塩にかけて男にした邦彦を手離したくなかったが、心を鬼にして実家へ帰るよう説得した。

それから四年。
東京へ行くから会いたいと、邦彦から何度も連絡があった。

だが由紀子はその誘いを断り続けた。
夫がいる身である以上、このままずるずるとつき合っても、邦彦を不幸にするだけだと思ったからだ。

つづく…
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紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

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「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。               
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日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
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