小説 「妄想の仮面」 最終章・・・
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『妄想の仮面』 紅殻格子
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『妄想の仮面』 紅殻格子
二十一.男
神社の裏。
夏祭りの夜とは言え、うっそうと茂る針葉樹の森は、青く照らす月の明かりとともに、どこかひんやりと肌に染み込んできます。
浴衣を脱ぎ捨てた私に、身を覆うものなど何一つありません。
剥き出しのお尻も青白く輝いています。
突然、黒い影が背後から抱きついてきました。
「ああっ」
男に乳房を強く揉みしだかれ、私は堪らず身をよじりました。
どこの誰でしょうか。
でもそんなことどうでもいいのです。
体を求められれば、私は誰にでも両脚を開く女なのです。
私は正面を向いて男と抱き合いました。
下腹部に大きな男性の性器が押し当てられると、俄かに子宮が疼いて陰部が潤んできます。
(欲しい・・)
首に巻きついた男の手を取って、私は濡れそぼった陰部へ導こうとしました。
その時、木陰の闇から私を呼ぶ声がした。
「・・ゆ、由美子なのか?」
はっと私は我に返りました。
主人の声でした。
男の肩越しに主人の姿を探しました。
月の光がまばらに射し込む闇の中、私はこちらへ近寄ってくる影を見つけました。
(あなたなの?)
私は目を凝らしました。
一瞬、月の光に影の顔が映りました。
でも影の男は、露店で売っていた狐のお面を被っていました。
――閉幕――