『マネキン妻の懊悩』(九)
『マネキン妻の懊悩』(九)
「妄想の囲炉裏端」紅殻格子の呟き入口
FC2 R18官能小説
九
困った山田が白髪頭を掻いていると、不意に背後から派手な女の声がした。
「あ~ら、柚木先生」
セクシーなパーティードレスを着て、見るからに夜の蝶とわかる美女が、山田の腕にべったりと抱きついた。
「あ、いや・・君、人違いじゃないかな」
「厭だ、先生。最近お見えにならないから、玲奈、すごく寂しかったのよ」
美咲は怪訝な顔で山田のわき腹をつついた。
「山田課長、一体どうしたんですか?」
「ん、うん・・その・・いや・・」
ますます困惑した山田はしどろもどろになった。
「あら、先生。そちらお連れ様かしら。綺麗な女性を連れて先生も隅に置けないわね。さあ、早くお店へ行きましょう」
玲奈と名乗る女は、硬直する山田と途惑う美咲を、無理矢理エレベーターの中へ押し込んだ。
連れて行かれた店は、銀座でも格式がありそうな高級クラブだった。
ボックス席に座った山田と美咲の許へ、外で会った玲奈と年配のママが挨拶に来た。
「柚木先生、お久しぶりです。今夜は若いお嬢さんを連れて羨ましいわ」
「いや、ママ、この人は・・」
山田が言いかけたところに、美咲が強引に割って入った。
「教えて下さい。どうして山田課長のことを柚木先生と呼ぶんですか?」
ママはきょとんとして山田の顔を見た。
「あら、お嬢さんは会社の方なの?」
「シッ、ママ、黙っていて」
山田は口に人差し指を立てた。
だが美咲はその細い指を素早くつかむと、ぎゅっと逆方向にねじ曲げた。
美咲は子供の頃、祖母から護身術を習っていたことがある。
「ギャッ! か、神倉君、乱暴はいけない」
「ちゃんと話してくれますね」
「は、話す・・話すから・・」
美咲は苦痛に顔を歪める山田の指を離した。
「神倉さんは酔うと乱暴になるんだなあ・・」
山田はぶつぶつ呟きながら、恨めしそうに痺れた指を揉み解した。
つづく…
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困った山田が白髪頭を掻いていると、不意に背後から派手な女の声がした。
「あ~ら、柚木先生」
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「あ、いや・・君、人違いじゃないかな」
「厭だ、先生。最近お見えにならないから、玲奈、すごく寂しかったのよ」
美咲は怪訝な顔で山田のわき腹をつついた。
「山田課長、一体どうしたんですか?」
「ん、うん・・その・・いや・・」
ますます困惑した山田はしどろもどろになった。
「あら、先生。そちらお連れ様かしら。綺麗な女性を連れて先生も隅に置けないわね。さあ、早くお店へ行きましょう」
玲奈と名乗る女は、硬直する山田と途惑う美咲を、無理矢理エレベーターの中へ押し込んだ。
連れて行かれた店は、銀座でも格式がありそうな高級クラブだった。
ボックス席に座った山田と美咲の許へ、外で会った玲奈と年配のママが挨拶に来た。
「柚木先生、お久しぶりです。今夜は若いお嬢さんを連れて羨ましいわ」
「いや、ママ、この人は・・」
山田が言いかけたところに、美咲が強引に割って入った。
「教えて下さい。どうして山田課長のことを柚木先生と呼ぶんですか?」
ママはきょとんとして山田の顔を見た。
「あら、お嬢さんは会社の方なの?」
「シッ、ママ、黙っていて」
山田は口に人差し指を立てた。
だが美咲はその細い指を素早くつかむと、ぎゅっと逆方向にねじ曲げた。
美咲は子供の頃、祖母から護身術を習っていたことがある。
「ギャッ! か、神倉君、乱暴はいけない」
「ちゃんと話してくれますね」
「は、話す・・話すから・・」
美咲は苦痛に顔を歪める山田の指を離した。
「神倉さんは酔うと乱暴になるんだなあ・・」
山田はぶつぶつ呟きながら、恨めしそうに痺れた指を揉み解した。
つづく…
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