『マネキン妻の懊悩』(七)
『マネキン妻の懊悩』(七)
「妄想の囲炉裏端」紅殻格子の呟き入口
FC2 R18官能小説
七
美咲は山田に噛みついた。
「山田課長、そんなに私はお婆さんに見えますか?」
「そ、そんなことないよ。神倉さんは若くて綺麗だよ。でも会社は、事務職として神倉さんに活躍して欲しいんだ」
「私は受付が好きなんです。もう少しだけでもこのまま・・」
山田は両手をテーブルについて白髪頭を突っ伏した。
「申し訳ない。これは上層部の意向なんだ」
「・・済みません。来週まで考えさせて下さい」
そう言い残すと、美咲は逃げるように会議室を後にした。
美咲は迷っていた。
受付を外されるぐらいなら、会社を辞めてもいいと思っていた。
だがそれでは、口煩いが心配してくれる山田を裏切ることになる。
それに三十五歳の美咲を、受付として雇用してくれる会社があるとは思えなかった。
(でも男達の視線に晒されていたい・・)
かろうじてイヴを慰めてくれるのが、今の受付嬢としての仕事だった。
もし受付を辞めれば、怒り狂ったイヴは何をしでかすかわからない。
風俗に身を落とすならまだしも、公然猥褻罪で逮捕さないとも限らなかった。
追い詰められた美咲は、イヴの淫欲を呪いながらも、午後の仕事へと戻って行った。
その夜、美咲は後輩の受付嬢と、銀座のイタリア料理店で浴びるほどワインを飲んだ。
「神倉先輩、大丈夫ですか?」
「平気よ。あなたは早く彼氏のところへ帰りなさい」
店を出たのは九時過ぎだった。
後輩と別れた美咲は、どこへ行くでもなく、人ごみに身を任せて銀座を千鳥足で彷徨った。
美咲はまだ気持ちの整理がつかずにいた。
受付を辞めるか転職するか、その迷いを誤魔化すため、今夜は大酒を飲まずにいられなかったのだ。
つづく…
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美咲は山田に噛みついた。
「山田課長、そんなに私はお婆さんに見えますか?」
「そ、そんなことないよ。神倉さんは若くて綺麗だよ。でも会社は、事務職として神倉さんに活躍して欲しいんだ」
「私は受付が好きなんです。もう少しだけでもこのまま・・」
山田は両手をテーブルについて白髪頭を突っ伏した。
「申し訳ない。これは上層部の意向なんだ」
「・・済みません。来週まで考えさせて下さい」
そう言い残すと、美咲は逃げるように会議室を後にした。
美咲は迷っていた。
受付を外されるぐらいなら、会社を辞めてもいいと思っていた。
だがそれでは、口煩いが心配してくれる山田を裏切ることになる。
それに三十五歳の美咲を、受付として雇用してくれる会社があるとは思えなかった。
(でも男達の視線に晒されていたい・・)
かろうじてイヴを慰めてくれるのが、今の受付嬢としての仕事だった。
もし受付を辞めれば、怒り狂ったイヴは何をしでかすかわからない。
風俗に身を落とすならまだしも、公然猥褻罪で逮捕さないとも限らなかった。
追い詰められた美咲は、イヴの淫欲を呪いながらも、午後の仕事へと戻って行った。
その夜、美咲は後輩の受付嬢と、銀座のイタリア料理店で浴びるほどワインを飲んだ。
「神倉先輩、大丈夫ですか?」
「平気よ。あなたは早く彼氏のところへ帰りなさい」
店を出たのは九時過ぎだった。
後輩と別れた美咲は、どこへ行くでもなく、人ごみに身を任せて銀座を千鳥足で彷徨った。
美咲はまだ気持ちの整理がつかずにいた。
受付を辞めるか転職するか、その迷いを誤魔化すため、今夜は大酒を飲まずにいられなかったのだ。
つづく…
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