『マネキン妻の懊悩』(五)
『マネキン妻の懊悩』(五)
「妄想の囲炉裏端」紅殻格子の呟き入口
FC2 R18官能小説
五
大手アパレルメーカーの東京本社ビル。
エントランスを抜けると、正面に受付席を据えたロビーが広がっている。
そこには十組の応接セットが置かれ、フロアの奥にも、応接室と打ち合わせ用の会議室が設けられていた。
受付席の美咲は、朝から商談に訪れる来客を手際良く接客していた。
受付勤務は二人一組で行われる。
来客の取り次ぎに始まり、お茶出しから応接室の予約まで、その業務範囲は幅広い。
ちなみに制服は、ピンクのジャケットと黒のスカートのコーディネートで、ブラウスの黒いリボンタイが襟元から覗く可愛らしいものだった。
運転手つきの黒塗り高級車を横づけして、禿頭で恰幅のいい初老の男が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
「アスカ銀行の森島だが、財務部の芦川常務を呼んでくれ」
「承っております。ただ今お部屋へご案内させて頂きます」
美咲はもう一人の受付嬢に後を任せると、自らが先導して来客をVIP専用の応接室へ案内した。
受付は忍耐強くないと務まらない。
来客が必ずしも行儀のいい人物ばかりとは限らないからだ。
森島のように偉ぶった傲慢な客もいれば、数分待たされただけで烈火の如く怒り出す客もいる。
そんな一癖二癖ある来客に、受付嬢は我慢強く対応しなければならない。
ところが最近は、感情をすぐ顔に出す若い女性が多い。
受付で最年長の美咲は、彼女達に手本を示すリーダー的な存在をも担っていた。
芦川常務が応接室に入るのを見届けた美咲は、二人分のコーヒーをトレイに載せてドアをノックした。
「失礼致します」
会話が中断され、対面した二人の視線が美咲に注がれる。
美咲は静かに来客側のテーブルにカップを差し出した。
「おう、済まんね」
ふと美咲は森島の目を意識した。
粘りつくような視線が制服の上から体を舐め回している。
ぞっと鳥肌が立った。
(穢らわしい・・)
図々しい森島の視線は、乳房の輪郭をなぞり、ヒップから内腿へと喰い込んでくる。
しかも森島の目は、X線のように制服を見透かし、美咲の裸身を網膜へ受像しているに違いない。
つづく…
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そこには十組の応接セットが置かれ、フロアの奥にも、応接室と打ち合わせ用の会議室が設けられていた。
受付席の美咲は、朝から商談に訪れる来客を手際良く接客していた。
受付勤務は二人一組で行われる。
来客の取り次ぎに始まり、お茶出しから応接室の予約まで、その業務範囲は幅広い。
ちなみに制服は、ピンクのジャケットと黒のスカートのコーディネートで、ブラウスの黒いリボンタイが襟元から覗く可愛らしいものだった。
運転手つきの黒塗り高級車を横づけして、禿頭で恰幅のいい初老の男が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
「アスカ銀行の森島だが、財務部の芦川常務を呼んでくれ」
「承っております。ただ今お部屋へご案内させて頂きます」
美咲はもう一人の受付嬢に後を任せると、自らが先導して来客をVIP専用の応接室へ案内した。
受付は忍耐強くないと務まらない。
来客が必ずしも行儀のいい人物ばかりとは限らないからだ。
森島のように偉ぶった傲慢な客もいれば、数分待たされただけで烈火の如く怒り出す客もいる。
そんな一癖二癖ある来客に、受付嬢は我慢強く対応しなければならない。
ところが最近は、感情をすぐ顔に出す若い女性が多い。
受付で最年長の美咲は、彼女達に手本を示すリーダー的な存在をも担っていた。
芦川常務が応接室に入るのを見届けた美咲は、二人分のコーヒーをトレイに載せてドアをノックした。
「失礼致します」
会話が中断され、対面した二人の視線が美咲に注がれる。
美咲は静かに来客側のテーブルにカップを差し出した。
「おう、済まんね」
ふと美咲は森島の目を意識した。
粘りつくような視線が制服の上から体を舐め回している。
ぞっと鳥肌が立った。
(穢らわしい・・)
図々しい森島の視線は、乳房の輪郭をなぞり、ヒップから内腿へと喰い込んでくる。
しかも森島の目は、X線のように制服を見透かし、美咲の裸身を網膜へ受像しているに違いない。
つづく…
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