『マネキン妻の懊悩』(四)
『マネキン妻の懊悩』(四)
「妄想の囲炉裏端」紅殻格子の呟き入口
FC2 R18官能小説
四
東京に本社を置く大手アパレルメーカーで、美咲は受付嬢をして勤務している。
受付は企業の顔であり華である。
特に美意識と感性が問われるアパレル業界では、受付嬢の質や接客態度に気を配っている。
最近では、受付専門の派遣を使う企業も多いが、美咲の会社は自前の社員で受付嬢を調えていた。
心地良いシャワーの飛沫に酔いながら、美咲は一樹との情事を振り返った。
体は満足している。
一樹に抱かれて何度も悦楽の高みへと駆け上った。
(でも・・)
美咲の心に熾った埋み火は、まだ消えてはいなかった。
満腹中枢が麻痺する過食症のように、いくら体が満たされても、心に蠢く淫欲はもやもやと燻ったままだった。
椅子に腰かけた美咲は、鏡に向かって両脚をゆっくりと開いた。
幼い頃は一筋の溝だった陰部が、今は林檎の芯に似た形で花開いている。
薄い褐色の花弁が歪に食み出し、濃桃色の花芯が再びてらてらと光沢を宿している。
美咲は陰部へシャワーを向けた。
(ああ、イヴ・・)
それが満たされない淫欲の正体だった。
裸にされるイヴを見た瞬間、美咲は淫欲と名乗る悪魔にとり憑かれた。
そしてイヴになり換わりたい妄想は、まるで癌細胞のように、じわじわと美咲の心を蝕んでいた。
美咲はふうっとため息をついた。
(イヴのように裸身を晒されたい)
むろん美咲もそれが邪な性欲だとわかっていた。
だから誰にも言わず、二十年以上も心の奥底に封じ込めてきたのだ。
ところがここ数年、裸身を晒せなくなる年齢を意識してか、イヴが夢に現れるほど、淫欲を叶えたい衝動は強まるばかりだった。
だが美咲は、夫の一樹に助けを求めようとはしなかった。
美咲は一樹を愛している。
愛しているが故に、一樹から軽蔑されたくなかった。
それにオーソドックスなセックスを好む真面目な一樹に、美咲の淫欲を鎮める変態行為など、期待するだけ酷にも思えた。
今夜も一人、美咲はイヴの姿を消し去るために、シャワーの飛沫で花芯を慰めるしかなかった。
(ああ・・)
美咲は小さく内腿を痙攣させながら、心の陰部を鎮めるように、小さく顔を覗かせた肉芽へ中指の先を伸ばした。
つづく…
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東京に本社を置く大手アパレルメーカーで、美咲は受付嬢をして勤務している。
受付は企業の顔であり華である。
特に美意識と感性が問われるアパレル業界では、受付嬢の質や接客態度に気を配っている。
最近では、受付専門の派遣を使う企業も多いが、美咲の会社は自前の社員で受付嬢を調えていた。
心地良いシャワーの飛沫に酔いながら、美咲は一樹との情事を振り返った。
体は満足している。
一樹に抱かれて何度も悦楽の高みへと駆け上った。
(でも・・)
美咲の心に熾った埋み火は、まだ消えてはいなかった。
満腹中枢が麻痺する過食症のように、いくら体が満たされても、心に蠢く淫欲はもやもやと燻ったままだった。
椅子に腰かけた美咲は、鏡に向かって両脚をゆっくりと開いた。
幼い頃は一筋の溝だった陰部が、今は林檎の芯に似た形で花開いている。
薄い褐色の花弁が歪に食み出し、濃桃色の花芯が再びてらてらと光沢を宿している。
美咲は陰部へシャワーを向けた。
(ああ、イヴ・・)
それが満たされない淫欲の正体だった。
裸にされるイヴを見た瞬間、美咲は淫欲と名乗る悪魔にとり憑かれた。
そしてイヴになり換わりたい妄想は、まるで癌細胞のように、じわじわと美咲の心を蝕んでいた。
美咲はふうっとため息をついた。
(イヴのように裸身を晒されたい)
むろん美咲もそれが邪な性欲だとわかっていた。
だから誰にも言わず、二十年以上も心の奥底に封じ込めてきたのだ。
ところがここ数年、裸身を晒せなくなる年齢を意識してか、イヴが夢に現れるほど、淫欲を叶えたい衝動は強まるばかりだった。
だが美咲は、夫の一樹に助けを求めようとはしなかった。
美咲は一樹を愛している。
愛しているが故に、一樹から軽蔑されたくなかった。
それにオーソドックスなセックスを好む真面目な一樹に、美咲の淫欲を鎮める変態行為など、期待するだけ酷にも思えた。
今夜も一人、美咲はイヴの姿を消し去るために、シャワーの飛沫で花芯を慰めるしかなかった。
(ああ・・)
美咲は小さく内腿を痙攣させながら、心の陰部を鎮めるように、小さく顔を覗かせた肉芽へ中指の先を伸ばした。
つづく…
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