『女帝陥落の淫夜』(九)
『女帝陥落の淫夜』(九)
「妄想の囲炉裏端」紅殻格子の呟き入口
FC2 R18官能小説
降り続いた雨も夕方には上がり、車窓から臨む工業地帯の空には、梅雨時に珍しく暗紅色の夕焼けが広がっていた。
康平は、幕張へ向けて走る社長車の助手席に乗っていた。
もちろん後部座席では、社長の恵美が経済誌に目を通している。
「秋葉君、今日の役員会議事録はいつできあがるの?」
「はい、本日中に文章の校正を済ませ、明朝各役員から押印頂く予定になっています」
「そう、買収契約に議事録は必要だから覚えておいてね」
「はい」
康平は後ろを振り返り、ちらっと恵美の顔を見た。
そこには役員会と見違えるような恵美がいた。
銀縁の眼鏡を外した円らな瞳には、朝の怜悧な鋭さは失せ、女らしい温かみのある優しさが溢れていた。
そして鮮やかなルージュを引いた口許には、艶かしい熟女の魅惑さえ漂わせている。
とても小学生の子供がいる未亡人とは見えない恵美に、康平は鼓動が高鳴るのを覚えた。
恵美は優しい口調で尋ねた。
「私の秘書になってもう半年ぐらい経つのかしら?」
「いえ、まだ三ヶ月目です」
「あらそうだったかしら。ねえ秋葉君、今日議論になった五億円の投資、あなたはどう思っているの?」
核心をつかれて康平はどきっとした。
「わ、私は・・」
「正直に言ってごらんなさい。あなたは反対派の立川さんの部下だけど、自分の意見を言うことは大切なことよ」
「はあ・・私も今回の投資には反対です」
「どうしてかしら?」
叱られることを覚悟していた康平だが、意外にも恵美は穏やかに問い返してきた。
「社長が提案された通り、将来を考えると東京進出は必要だと思います。しかし今回の案件はちょっと胡散臭いような・・」
「胡散臭いですって?」
恵美の口許がヒクッと引き攣った。
「す、済みません。口が過ぎました」
康平は慌てて助手席から頭を下げた。
「・・別に構わないわ・・それが大半の社員の意見でしょうから・・」
つづく…
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「秋葉君、今日の役員会議事録はいつできあがるの?」
「はい、本日中に文章の校正を済ませ、明朝各役員から押印頂く予定になっています」
「そう、買収契約に議事録は必要だから覚えておいてね」
「はい」
康平は後ろを振り返り、ちらっと恵美の顔を見た。
そこには役員会と見違えるような恵美がいた。
銀縁の眼鏡を外した円らな瞳には、朝の怜悧な鋭さは失せ、女らしい温かみのある優しさが溢れていた。
そして鮮やかなルージュを引いた口許には、艶かしい熟女の魅惑さえ漂わせている。
とても小学生の子供がいる未亡人とは見えない恵美に、康平は鼓動が高鳴るのを覚えた。
恵美は優しい口調で尋ねた。
「私の秘書になってもう半年ぐらい経つのかしら?」
「いえ、まだ三ヶ月目です」
「あらそうだったかしら。ねえ秋葉君、今日議論になった五億円の投資、あなたはどう思っているの?」
核心をつかれて康平はどきっとした。
「わ、私は・・」
「正直に言ってごらんなさい。あなたは反対派の立川さんの部下だけど、自分の意見を言うことは大切なことよ」
「はあ・・私も今回の投資には反対です」
「どうしてかしら?」
叱られることを覚悟していた康平だが、意外にも恵美は穏やかに問い返してきた。
「社長が提案された通り、将来を考えると東京進出は必要だと思います。しかし今回の案件はちょっと胡散臭いような・・」
「胡散臭いですって?」
恵美の口許がヒクッと引き攣った。
「す、済みません。口が過ぎました」
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