『女帝陥落の淫夜』(十)
『女帝陥落の淫夜』(十)
「妄想の囲炉裏端」紅殻格子の呟き入口
FC2 R18官能小説
何故か恵美は悲しげな翳りを顔に浮かべ、車窓の外を流れる夕景に目を遣った。
遠く幕張の高層ビル群が見えてきた。
康平は恵美の真意が読めず、ただ沈黙することしかできなかった。
恵美と康平が向かった先は、幕張の近代的なビルに間借りした小さな事務所だった。
『千葉流通研究所』
パーテーションで仕切られた応接室へ案内されると、ティーパックとすぐに見分けがつく安物のお茶が運ばれてきた。
しばらくして事務所の主が現れた。
岡平弘樹、五十二歳。
日焼けした顔に黒々とした太い眉、そしてがっちりした体格の岡平は、年に似合わぬエネルギッシュな精悍さを発散させていた。
「奥様、わざわざ幕張までようこそ」
岡平は、歯が浮くような台詞を気障ったらしく身振りをつけて喋った。
「いつもお世話になっています」
恵美はしおらしく頭を下げた。
「おや、こちらの方は?」
岡平はじろじろと康平の顔を眺めた。
「私の秘書をしている秋葉です」
「初めまして。秋葉と申します。宜しくお願いします」
名刺を受けながら、岡平は康平の顔を覗き込んだ。
「はて、似ているなあ・・お、それはそれとして奥様、いえ、社長、役員会は上手く運びましたか?」
「はい、ご指導戴いた通り、主人のことを話しましたら、すっかり反対派の役員達は沈黙してしまいました」
「それは良かった。これで夢創社の未来は開けます。亡きご主人もさぞ喜んでいることでしょう」
岡平は馴れ馴れしく恵美の手を握った。
やはり立川が心配した通り、恵美を操っている黒幕は岡平のようだった。
つづく…
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遠く幕張の高層ビル群が見えてきた。
康平は恵美の真意が読めず、ただ沈黙することしかできなかった。
恵美と康平が向かった先は、幕張の近代的なビルに間借りした小さな事務所だった。
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しばらくして事務所の主が現れた。
岡平弘樹、五十二歳。
日焼けした顔に黒々とした太い眉、そしてがっちりした体格の岡平は、年に似合わぬエネルギッシュな精悍さを発散させていた。
「奥様、わざわざ幕張までようこそ」
岡平は、歯が浮くような台詞を気障ったらしく身振りをつけて喋った。
「いつもお世話になっています」
恵美はしおらしく頭を下げた。
「おや、こちらの方は?」
岡平はじろじろと康平の顔を眺めた。
「私の秘書をしている秋葉です」
「初めまして。秋葉と申します。宜しくお願いします」
名刺を受けながら、岡平は康平の顔を覗き込んだ。
「はて、似ているなあ・・お、それはそれとして奥様、いえ、社長、役員会は上手く運びましたか?」
「はい、ご指導戴いた通り、主人のことを話しましたら、すっかり反対派の役員達は沈黙してしまいました」
「それは良かった。これで夢創社の未来は開けます。亡きご主人もさぞ喜んでいることでしょう」
岡平は馴れ馴れしく恵美の手を握った。
やはり立川が心配した通り、恵美を操っている黒幕は岡平のようだった。
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