心の闇⑤ 墓標(その4)…降矢木士朗
心の闇⑤ 墓標(その4) 降矢木士朗
ホテルに戻った私は、部屋に入って内心どきっとしました。
和室に布団が並べて敷かれていました。
後から部屋へ入ってきた月絵も、顔を赤らめて立ち止ってしまいました。
「コホン、もう少し飲むか」
「・・はい」
私は部屋の隅へ追いやられた座卓に坐ると、照れ隠しで焼酎の水割りをぐいっと飲み干しました。
どのぐらい時間が経ったでしょうか、焼酎の瓶がほぼ底をついていました。
月絵はとろんとした瞳で私に意外なことを話し始めました。
「私、本当の私を見てもらいたくてこの島へ来たんです」
「・・本当の私?」
「先生がご存知の通り、自分に物凄くコンプレックスがあって・・淫らな仕事をしていた母の血が私には流れているんです」
「馬鹿だな、そんなこと気になどしない」
「先生は職業で人を判断したりしないのは知っています。でもそれは博愛の精神に似ています。だから一人の女性を深く愛することができないんじゃありませんか?」
「・・・・」
月絵は潤んだ瞳で私を見ました。
「先生は理想主義者です。純粋無垢なガラスの人形しか愛せないんです。傷だらけの生身の女が恐いんじゃありませんか?」
「・・・・」
「だから私、母が体を売っていたこの島なら、私の全てを先生に曝け出せると思って・・」
「・・・・」
月絵は着ているTシャツを捲り上げ・・・
「先生、先生っ!」
「・・・・」
酒で猛烈な睡魔に襲われた私は、月絵のキンキン声を子守唄に、深い眠りについてしまったのです。
つづく…
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和室に布団が並べて敷かれていました。
後から部屋へ入ってきた月絵も、顔を赤らめて立ち止ってしまいました。
「コホン、もう少し飲むか」
「・・はい」
私は部屋の隅へ追いやられた座卓に坐ると、照れ隠しで焼酎の水割りをぐいっと飲み干しました。
どのぐらい時間が経ったでしょうか、焼酎の瓶がほぼ底をついていました。
月絵はとろんとした瞳で私に意外なことを話し始めました。
「私、本当の私を見てもらいたくてこの島へ来たんです」
「・・本当の私?」
「先生がご存知の通り、自分に物凄くコンプレックスがあって・・淫らな仕事をしていた母の血が私には流れているんです」
「馬鹿だな、そんなこと気になどしない」
「先生は職業で人を判断したりしないのは知っています。でもそれは博愛の精神に似ています。だから一人の女性を深く愛することができないんじゃありませんか?」
「・・・・」
月絵は潤んだ瞳で私を見ました。
「先生は理想主義者です。純粋無垢なガラスの人形しか愛せないんです。傷だらけの生身の女が恐いんじゃありませんか?」
「・・・・」
「だから私、母が体を売っていたこの島なら、私の全てを先生に曝け出せると思って・・」
「・・・・」
月絵は着ているTシャツを捲り上げ・・・
「先生、先生っ!」
「・・・・」
酒で猛烈な睡魔に襲われた私は、月絵のキンキン声を子守唄に、深い眠りについてしまったのです。
つづく…
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